説苑 / 修文
天子以鬯為贄,鬯者百草之本也,上暢於天,下暢於地,無所不暢,故天子以鬯為贄。諸侯以圭為贄,圭者玉也,薄而不撓,廉而不劌,有瑕於中,必見於外,故諸侯以玉為贄。卿以羔為贄,羔者,羊也,羊群而不黨,故卿以為贄。大夫以鴈為贄,鴈者行列有長幼之禮,故大夫以為贄。士以雉為贄,贄可不可指食,籠狎而服之,故士以雉為贄。庶人以鶩為贄,鶩者鶩鶩也,鶩鶩無它心,故庶人以鶩為贄。贄者,所以質也。
新字:天子以鬯為贄,鬯者百草之本也,上暢於天,下暢於地,無所不暢,故天子以鬯為贄。諸侯以圭為贄,圭者玉也,薄而不撓,廉而不劌,有瑕於中,必見於外,故諸侯以玉為贄。卿以羔為贄,羔者,羊也,羊群而不党,故卿以為贄。大夫以鴈為贄,鴈者行列有長幼之礼,故大夫以為贄。士以雉為贄,贄可不可指食,籠狎而服之,故士以雉為贄。庶人以鶩為贄,鶩者鶩鶩也,鶩鶩無它心,故庶人以鶩為贄。贄者,所以質也。
書き下し
天子は鬯を以て贄と為す、鬯とは百草の本なり、上は天に暢び、下は地に暢び、暢ばざる所無し、故に天子は鬯を以て贄と為す。諸侯は圭を以て贄と為す、圭とは玉なり、薄くして撓まず、廉にして劌わず、瑕中に有れば、必ず外に見る、故に諸侯は玉を以て贄と為す。卿は羔を以て贄と為す、羔とは、羊なり、羊群して黨せず、故に卿以て贄と為す。大夫は鴈を以て贄と為す、鴈とは行列に長幼の禮有り、故に大夫以て贄と為す。士は雉を以て贄と為す、贄食を指すべからず、籠狎して之に服す、故に士は雉を以て贄と為す。庶人は鶩を以て贄と為す、鶩とは鶩鶩なり、鶩鶩他心無し、故に庶人は鶩を以て贄と為す。贄とは、質する所以なり。
現代語訳
天子は鬯(香酒)を進物とする。鬯は百草の根本であり、上は天に達し下は地に達し、通じ届かないところがない。だから天子は鬯を進物とする。諸侯は圭(玉)を進物とする。圭は玉であり、薄くても撓まず、角があっても他を傷つけず、内側に瑕があれば必ず外に現れる。だから諸侯は玉を進物とする。卿は子羊を進物とする。子羊は群れをなしても徒党を組まない。だから卿は子羊を進物とする。大夫は雁を進物とする。雁は隊列を組む際に年長者と年少者の礼儀がある。だから大夫は雁を進物とする。士は雉を進物とする。雉は生け捕っても餌付けができず飼い慣らすのが難しいが、それでも人に懐くことがある。だから士は雉を進物とする。庶人は家鴨を進物とする。家鴨はただひたすらであり、余計な思惑を持たない。だから庶人は家鴨を進物とする。進物とは、その人の本質を表すためのものである。
解説
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説苑・修文生きて相與に交通す、故に留賓と曰う。天子より士に至るまで、各おの次有り、死を贈るに柩尸に及ばず、生を弔うに悲哀に及ばざるは、禮に非ざるなり。故に古は吉行五十里、奔喪百里、賵を贈るに事に及ぶを時と謂う。時とは、禮の大なる者なり。春秋に曰く、「天王宰咺をして來たりて惠公・仲子の賵を歸さしむ。」と。賵とは何ぞ?喪事に賵有る者は、蓋し乘馬束帛輿馬を以て賵と曰い、貨財を賻と曰い、水被を襚と曰い、口實を唅と曰い、玩好を贈と曰う。生を知る者は賻賵し、死を知る者は贈襚す。贈襚は死を送る所以なり、賻賵は生を佐くる所以なり。輿馬・束帛・貨財・衣被・玩好、其の數奈何?曰く、天子は乘馬六匹、諸侯は四匹、大夫は三匹、元士は二匹、下士は一匹。天子の束帛五匹、玄三纁二、各おの五十尺、諸侯は玄三纁二、各おの三十尺、大夫は玄一纁二、各おの三十尺、元士は玄一纁一、各おの二丈、下士は綵縵各おの一匹、庶人は布帛各おの一匹。天子の賵は、乘馬六匹乘車、諸侯は四匹乘輿、大夫は參輿と曰い、元士下士は輿を用いず。天子の文繡の衣各おの一襲地に到り、諸侯は跗を覆い、大夫は踝に到り、士は髀に到る。天子の唅は珠を以て實とし、諸侯は玉を以てし、大夫は璣を以てし、士は貝を以てし、庶人は穀實を以てす。位尊く德厚く親に及ぶ者は賻賵唅襚厚く、貧富も亦差有り。二三四五の數は、之を天地に取りて奇偶を制し、人情を度りて節文を出す、之を因有りと謂う、禮の大宗なり。
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説苑・修文春の祭を祠と曰い、夏の祭を禴と曰い、秋の祭を嘗と曰い、冬の祭を烝と曰う。春は韭卵を薦め、夏は麥魚を薦め、秋は黍豚を薦め、冬は稻鴈を薦む。三歲に一たび祫し、五年に一たび禘す。祫とは、合なり。禘とは、諦なり。祫とは祖廟に大合祭するなり、禘とは其の德を諦らかにして優劣を差するなり。聖主將に祭らんとするや、必ず潔齋精思し、親の在るが若し。方に興きて未だ登らざるに、憧憧として、專ら一に親の容貌彷彿たるを想う、此れ孝子の誠なり。四方の祭を助くる者、空しくして來たる者滿ちて反り、虛しくして至る者實ちて還る、皆法則を取るなり。
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『塩鉄論』崇禮篇賢良曰く、王者は禮を崇び德を施し、仁義を上びて怪力を賤しむ、故に聖人は絕ちて言わず。孔子曰く、『言忠信、行篤敬なれば、蠻・貊の邦と雖も、棄つべからざるなり』と。今、萬方絕國の君の贄を奉じて獻ずる者は、天子の盛德を懷いて、中國の禮儀を觀んと欲す、故に明堂・辟雍を設けて以て之に示し、干戚を揚げ、雅・頌を昭らかにして以て之を風す。今乃ち玩好不用の器、奇蟲不畜の獸、角抵諸戲、炫耀の物を以て之に陳ねて誇るは、殆んど周公の遠方を待つと殊なれり。昔、周公は謙に處りて以て士に卑くし、禮を執りて以て天下を治め、越裳の贄を辭せしは、恭讓の禮を見せばなり。既にして與に文王の廟に入りしは、是れ大孝の禮を見せばなり。目に威儀干戚の容を睹、耳に清歌雅・頌の聲を聽き、心に至德を充たし、欣然として以て歸る、此れ四夷の義を慕いて內附せし所以にして、重譯狄鞮して來たりて猛獸熊羆を觀るに非ざるなり。夫れ犀象兕虎は、南夷の多き所なり、騾驢馲駝は、北狄の常に畜う所なり。中國の鮮き所を、外國は之を賤しむ。南越は孔雀を以て門戶に珥し、昆山の旁は、玉璞を以て烏鵲に抵つ。今、人の賤しむ所を貴び、人の饒かなる所を珍とするは、中國を厚くし、盛德を明らかにする所以に非ざるなり。隋・和は、世の名寶なり、而も危を安んじ亡を存する能わず。故に德を喻し威を示すは、惟だ賢臣良相にして、犬馬珍怪に在らず。是を以て聖王は賢を以て寶と為し、珠玉を以て寶と為さず。昔、晏子は之を樽俎の間に修めて、沖を千里に折く。能わざる者は、隋・和篋に滿つと雖も、存亡に益無し。
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