礼記 / 曲礼下
國君春田不圍澤;大夫不掩群,士不取麛卵。 歲凶,年穀不登,君膳不祭肺,馬不食穀,馳道不除,祭事不縣。大夫不食粱,士飲酒不樂。 君無故,玉不去身;大夫無故,不徹縣;士無故,不徹琴瑟。
新字:国君春田不囲沢;大夫不掩群,士不取麛卵。 歳凶,年穀不登,君膳不祭肺,馬不食穀,馳道不除,祭事不県。大夫不食粱,士飲酒不楽。 君無故,玉不去身;大夫無故,不徹県;士無故,不徹琴瑟。
書き下し
国君は春田(しゅんでん)に沢を囲まず。大夫は群を掩(おお)わず、士は麛卵(べいらん)を取らず。 歳凶にして、年穀登らざれば、君の膳は肺を祭らず、馬は穀を食らわず、馳道は除(おさ)めず、祭事には県(けん)せず。大夫は粱(りょう)を食らわず、士は酒を飲むも楽しまず。 君は故無ければ、玉身を去らず。大夫は故無ければ、県を徹せず。士は故無ければ、琴瑟を徹せず。
現代語訳
国君は春の狩りで沢をまるごと取り囲んで獲物を狩り尽くすことをしない。大夫は群れている獣を一網打尽にせず、士は子鹿や鳥の卵を取らない。 凶作の年で穀物が実らなければ、君の食膳では肺を供えて祭ること(牲を殺すこと)をせず、馬には穀物を食べさせず、君の車の通る道を整備せず、祭りでは鐘や磬(けい)を架けて楽を奏しない。大夫は上等の粱(おおあわ)の飯を食べず、士は酒を飲んでも楽を奏さない。 君は特別な事故がなければ、佩玉を身から離さない。大夫は特別な事故がなければ、架けた楽器を下ろさない。士は特別な事故がなければ、琴瑟を片づけない。
解説
狩りの節度、凶作の年の自粛、平時のたしなみという三つの規定を並べた段である。春の狩りで沢を囲まず、群れを一網打尽にせず、子鹿や卵を取らないのは、孔穎達の疏が説くとおり、春は万物が子を産み育てる時期で、殺しすぎないためである。資源を根こそぎにしないという考えは、孟子が「数罟(さっこ)を洿池(おち)に入れざれば、魚鼈食らうに勝(た)うべからず」と説いたのと同じ発想で、持続的な暮らしへの配慮といえる。凶作の年には、君も大夫も士も、それぞれの立場で食膳や楽を慎む。鄭玄は、これらはみな自らを貶して損じ、民を憂えるためだと注し、道を整備しないのは民が野草を採る妨げにならないためだとする。上に立つ者が苦しい時期に率先して身を慎むことで、民と苦しみを分かち合うのである。一方、平時には玉を身につけ、楽器を片づけずにおく。鄭玄は、憂いと楽しみが互いに干渉しないためだと注している。苦しい時期に上に立つ者がまず身を削るという姿勢は、今の組織の長にも求められるものである。
この章句が説くこと
礼記節度凶年自粛曲礼
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