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礼記 / 曲礼下

士有獻於國君,他日,君問之曰:「安取彼?」再拜稽首而后對。大夫私行出疆,必請;反,必有獻。士私行出疆,必請;反,必告。君勞之,則拜;問其行,拜而后對。 國君去其國,止之曰:「奈何去社稷也。」大夫曰:「奈何去宗廟也!」士曰:「奈何去墳墓也!」

新字:士有献於国君,他日,君問之曰:「安取彼?」再拝稽首而后対。大夫私行出疆,必請;反,必有献。士私行出疆,必請;反,必告。君労之,則拝;問其行,拝而后対。 国君去其国,止之曰:「奈何去社稷也。」大夫曰:「奈何去宗廟也!」士曰:「奈何去墳墓也!」

書き下し

士、国君に献ずること有りて、他日、君これに問いて曰く、「安(いず)くにか彼を取れる」と。再拝稽首して而る后に対う。大夫私に行きて疆(さかい)を出づるには、必ず請い、反れば、必ず献ずること有り。士私に行きて疆を出づるには、必ず請い、反れば、必ず告ぐ。君これを労えば、則ち拝す。其の行を問えば、拝して而る后に対う。 国君其の国を去らんとすれば、これを止めて曰く、「奈何(いかん)ぞ社稷を去るや」と。大夫には曰く、「奈何ぞ宗廟を去るや」と。士には曰く、「奈何ぞ墳墓を去るや」と。

現代語訳

士が国君に品物を献上し、後日、君が「あれはどこで手に入れたのか」と尋ねたときは、二度拝して額を地につけてから答える。大夫が私用で国境の外に出るときは、必ず君に許しを請い、戻ったときには必ず献上品を持参する。士が私用で国境の外に出るときは、必ず許しを請い、戻ったときには必ず帰国を報告する。君がねぎらってくれれば拝礼する。旅のことを尋ねられれば、拝礼してから答える。 国君が国を去ろうとするときは、臣民はこれを引き止めて「どうして社稷(しゃしょく、国の土地と穀物の神)をお見捨てになるのですか」と言う。大夫が去ろうとするときは「どうして宗廟をお見捨てになるのですか」と言う。士が去ろうとするときは「どうして先祖の墓をお見捨てになるのですか」と言う。

解説

君に献上したり、国境の外へ出たりするときの報告の作法と、国を去ろうとする者を引き止める言葉を述べた段である。献上した品について君に問われれば拝してから答え、私用で国外に出るときは必ず許しを請い、戻れば献上や報告をする。君に仕える者は、私的な行動であってもその出入りを君に明らかにしておくのが礼であった。上役に行き先と帰着を報告するという今の組織の習慣にも通じるところがある。後半の引き止めの言葉は印象深い。国君には社稷、大夫には宗廟、士には墳墓と、それぞれが守るべきものを挙げて去ることを思いとどまらせる。国君は国の土地と穀物の神を、大夫は一族の祖先の廟を、士は先祖の墓を守る責任を負っており、去ることはそれを見捨てることになるからである。人を引き止めるときに、その人が本当に大切にしているものを思い出させるという言葉の選び方は、辞めようとする仲間を引き止める場面でも参考になる。

この章句が説くこと

礼記報告去国責任曲礼

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