礼記 / 曲礼下
大夫、士去國,祭器不踰竟;大夫寓祭器於大夫,士寓祭器於士。大夫、士去國:踰竟,為壇位,鄉國而哭。素衣、素裳、素冠,徹緣,鞮屨、素簚,乘髦馬,不蚤鬋,不祭食,不說人以無罪;婦人不當御。三月而復服。
新字:大夫、士去国,祭器不踰竟;大夫寓祭器於大夫,士寓祭器於士。大夫、士去国:踰竟,為壇位,郷国而哭。素衣、素裳、素冠,徹縁,鞮屨、素簚,乗髦馬,不蚤鬋,不祭食,不説人以無罪;婦人不当御。三月而復服。
書き下し
大夫・士国を去れば、祭器は竟(さかい)を踰(こ)えず。大夫は祭器を大夫に寓(よ)せ、士は祭器を士に寓す。大夫・士国を去るには、竟を踰えて、壇位を為(つく)り、国に郷(む)かいて哭す。素衣・素裳・素冠にして、縁(ふち)を徹し、鞮屨(ていく)・素簚(そべき)、髦馬(ぼうば)に乗り、蚤鬋(そうせん)せず、食を祭らず、人に説くに罪無きを以てせず。婦人は御に当たらず。三月にして服に復す。
現代語訳
大夫や士が国を去るときは、祭器を国境の外へは持ち出さない。大夫は祭器を同じ大夫に預け、士は祭器を同じ士に預ける。大夫や士が国を去るときは、国境を越えたところで土壇を築いて席を設け、故国の方に向かって哭する。白い上衣に白い裳、白い冠を着け、衣の縁飾りを取り去り、飾りのない革の履き物をはき、車の前の覆いも白い革にし、たてがみを切りそろえない馬に乗り、爪を切らず髪を整えず、食事の前の祭りをせず、人に向かって自分に罪がないと弁明せず、妻と寝所をともにしない。三か月たってから平常の服装に戻る。
解説
大夫や士が故国を去るときの礼を定めた段である。君に諫言が容れられなかったり、罪を得たりして国を離れる場面が想定されている。祭器を国境の外へ持ち出さず、同じ身分の者に預けるのは、祖先の祭りは故国に根ざすものであり、国を去ったからといって祭りの器まで持ち去って祖先とのつながりを断つことはしない、という心遣いである。国境を越えたら壇を築いて故国に向かって哭し、白い衣と冠をまとい、縁飾りを外し、髪も爪も整えず、食前の祭りをしない。これは喪に準じた姿で、故国を離れることを一種の死別として悲しむのである。とりわけ注目すべきは「人に説くに罪無きを以てせず」の一句で、国を去る者が自分の無実を触れ回らないという規定である。君を非とし自分を是とすることは、仕えた国への恨み言になり、臣としての節を損なう。三か月で平常に戻るのも、悲しみを区切る節度である。組織を去るときに前の職場を悪く言わず、静かに身を引く姿勢として、今も学ぶところがある。
この章句が説くこと
礼記去国節度祭器曲礼
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