礼記 / 曲礼下
公事不私議。 君子將營宮室:宗廟為先,廄庫為次,居室為後。 凡家造:祭器為先,犧賦為次,養器為後。無田祿者不設祭器;有田祿者先為祭服。君子雖貧,不粥祭器;雖寒,不衣祭服;為宮室,不斬於丘木。
新字:公事不私議。 君子将営宮室:宗廟為先,廄庫為次,居室為後。 凡家造:祭器為先,犠賦為次,養器為後。無田禄者不設祭器;有田禄者先為祭服。君子雖貧,不粥祭器;雖寒,不衣祭服;為宮室,不斬於丘木。
書き下し
公事は私に議せず。 君子将に宮室を営まんとするには、宗廟を先と為し、廏庫(きゅうこ)を次と為し、居室を後と為す。 凡そ家造には、祭器を先と為し、犠賦(ぎふ)を次と為し、養器を後と為す。田禄無き者は祭器を設けず。田禄有る者は先ず祭服を為る。君子は貧しと雖も、祭器を粥(ひさ)がず。寒しと雖も、祭服を衣ず。宮室を為るに、丘木を斬らず。
現代語訳
公の事柄を私的な場で論じない。 君子が住まいを造営しようとするときは、宗廟(祖先を祭る廟)を最初に建て、馬小屋や倉庫をその次に建て、自分の住む部屋を最後に建てる。 およそ家の道具を作るときは、祭器を最初に作り、祭りの牲を出すための賦税をその次に備え、日常の食器を最後に作る。領地や俸禄のない者は祭器をそろえない(借りて用いる)。領地や俸禄のある者は、まず祭服を作る。君子はどれほど貧しくても祭器を売らない。どれほど寒くても祭服を普段着にしない。住まいを造るときにも、墓地の木を切らない。
解説
公私のけじめと、家を営むときの優先順位を定めた段である。冒頭の「公事は私に議せず」は、公の事柄を私的な場でひそかに論じることを戒める短い句で、職務上の事柄を私の利害や噂話に持ち込まないという原則として、今もそのまま通用する。続いて、住まいを造るなら宗廟が先、倉庫が次、自分の居室は最後、家の道具を作るなら祭器が先、日常の器は最後、という順序を定める。自分の生活の便より先に、祖先を祭る場と器を整えるという順番そのものが、祖先を本とする礼の価値観を表している。どれほど貧しくても祭器を売らず、どれほど寒くても祭服を普段着にせず、住まいを建てるのに墓地の木を切らないという規定について、鄭玄は、いずれも鬼神を敬う心を広げるためだと注している。困窮しても手放してはならないものがあるという考え方は、目先の都合のために大切なものを売り渡してよいか、という問いとして今も読むことができる。
この章句が説くこと
礼記公私祭器優先順位曲礼
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