礼記 / 曲礼上
禮不下庶人,刑不上大夫。刑人不在君側。 兵車不式。武車綏旌,德車結旌。 史載筆,士載言。 前有水,則載青旌。前有塵埃,則載鳴鳶。前有車騎,則載飛鴻。前有士師,則載虎皮。前有摯獸,則載貔貅。行:前朱鳥而後玄武,左青龍而右白虎。招搖在上,急繕其怒。進退有度,左右有局,各司其局。
新字:礼不下庶人,刑不上大夫。刑人不在君側。 兵車不式。武車綏旌,徳車結旌。 史載筆,士載言。 前有水,則載青旌。前有塵埃,則載鳴鳶。前有車騎,則載飛鴻。前有士師,則載虎皮。前有摯獣,則載貔貅。行:前朱鳥而後玄武,左青竜而右白虎。招揺在上,急繕其怒。進退有度,左右有局,各司其局。
書き下し
礼は庶人に下らず、刑は大夫に上らず。刑人は君の側に在らず。 兵車には式せず。武車は旌(はた)を綏(た)れ、徳車は旌を結ぶ。 史は筆を載せ、士は言を載す。 前に水有れば、則ち青旌を載す。前に塵埃有れば、則ち鳴鳶(めいえん)を載す。前に車騎有れば、則ち飛鴻を載す。前に士師有れば、則ち虎皮を載す。前に摯獣(しじゅう)有れば、則ち貔貅(ひきゅう)を載す。行くには、朱鳥を前にして玄武を後にし、青龍を左にして白虎を右にす。招揺(しょうよう)上に在り、其の怒りを急繕(きゅうけい)にす。進退に度有り、左右に局有り、各(おのおの)其の局を司る。
現代語訳
礼は庶民にまでは求めず、刑罰は大夫にまでは加えない。刑罰を受けた者は君のそばに仕えさせない。 戦車の上では横木に手をかけて敬礼することをしない。戦のための車は旗を垂らしてなびかせ、平時の徳を示す車は旗を巻いて結んでおく。 君の外出には、記録官である史は筆記具を車に載せ、士は盟約などの言葉を記した文書を車に載せて随行する。 軍が進むとき、前方に川があれば青い旗を掲げる。前方に土ぼこりが立てば、鳴く鳶を描いた旗を掲げる。前方に車や騎兵がいれば、飛ぶ雁を描いた旗を掲げる。前方に兵の一隊がいれば虎の皮を掲げる。前方に猛獣がいれば、貔貅(猛獣の名)を描いた旗を掲げる。行軍の陣は、朱鳥(南方の星宿)の旗を前に、玄武(北方の星宿)の旗を後ろに、青龍(東方の星宿)の旗を左に、白虎(西方の星宿)の旗を右に立てる。北斗七星の柄の先にある招揺星を描いた旗を中央の上に掲げ、軍の威勢を堅く強くする。進むも退くも一定の規律があり、左右の部隊にはそれぞれ持ち場があり、おのおのがその持ち場をつかさどる。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・曲礼上客車は大門に入らず。婦人は立乗せず。犬馬は堂に上らず。 故に君子は黄髪に式(しょく)し、卿位に下る。国に入りては馳せず、里に入りては必ず式す。君命じて召せば、賤人と雖も、大夫・士必ず自らこれを御す。介者は拝せず、其の拝して蓌拝(ざはい)するが為なり。祥車は左を曠(むな)しくし、君の乗車に乗りては敢えて左を曠しくせず。左には必ず式す。僕、婦人を御するには、則ち左手を進め、右手を後にす。国君を御するには、則ち右手を進め、左手を後にして俯す。国君は奇車に乗らず。車上には広く欬(しわぶ)かず、妄りに指ささず。立ちては五巂(ごけい)を視、式しては馬尾を視、顧みるに轂(こしき)を過ぎず。国中には策彗(さくすい)を以て卹勿(じゅつぶつ)し、駆ること勿かれ、駆ること勿かれ。塵は軌を出でず。国君は斉牛に下り、宗廟に式す。大夫・士は公門に下り、路馬に式す。路馬に乗るには、必ず朝服して鞭策を載せ、敢えて綏を授けず、左には必ず式す。路馬を歩ませるには、必ず道に中す。足を以て路馬の芻(まぐさ)を蹙(け)れば、誅有り。路馬を歯(よわい)すれば、誅有り。
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礼記・曲礼下天子を視るには袷(こう)より上らず、帯より下らず。国君には綏(だ)視し、大夫には衡視し、士には五歩を視る。凡そ視ること、面より上れば則ち敖(おご)り、帯より下れば則ち憂え、傾くれば則ち姦(かん)なり。 君命ずれば、大夫と士と肄(なら)う。官に在りては官を言い、府に在りては府を言い、庫に在りては庫を言い、朝に在りては朝を言う。朝には言犬馬に及ばず。朝を輟(や)めて顧みるは、異事有らずんば、必ず異慮有り。故に朝を輟めて顧みるは、君子これを固と謂う。朝に在りては礼を言い、礼を問えば、対うるに礼を以てす。
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礼記・曲礼上帷薄(いはく)の外には趨(はし)らず、堂上には趨らず、玉を執りては趨らず。堂上には武(あしあと)を接し、堂下には武を布く。室中には翔(かけ)らず、並び坐しては肱(ひじ)を横たえず。立てるに授くるには跪かず、坐せるに授くるには立たず。 凡そ長者の為に糞(はら)うの礼は、必ず帚(ほうき)を箕(み)の上に加え、袂(たもと)を以て拘(おお)いて退く。其の塵は長者に及ばず、箕を以て自ら郷けてこれを扱(おさ)む。席を奉ずること橋衡の如くす。席を請うには何れに郷かわんと、衽(じん)を請うには何れに趾(あし)せんと。席の南郷・北郷するは、西方を以て上と為し、東郷・西郷するは、南方を以て上と為す。
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礼記・曲礼下凡そ奉ずる者は心に当て、提(さ)ぐる者は帯に当つ。天子の器を執るには則ち衡(こう)より上にし、国君には則ち衡に平らかにし、大夫には則ちこれを綏(くだ)し、士には則ちこれを提ぐ。凡そ主器を執るには、軽きを執るも克(た)えざるが如くす。主器を執り、幣・圭・璧を操るには、則ち左手を尚び、行くに足を挙げず、車輪のごとく踵を曳く。立てば則ち磬折(けいせつ)して佩(はい)を垂る。主の佩倚(よ)れば、則ち臣の佩垂れ、主の佩垂るれば、則ち臣の佩委(ゆだ)ぬ。玉を執るに、其の藉(しゃ)有る者は則ち裼(せき)し、藉無き者は則ち襲(しゅう)す。
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礼記・礼器礼に文を以て貴しと為す者有り。天子は竜袞(りょうこん)、諸侯は黼(ほ)、大夫は黻(ふつ)、士は玄衣纁裳(げんいくんしょう)。天子の冕(べん)は、朱緑の藻(そう)、十有二旒(りゅう)、諸侯は九、上大夫は七、下大夫は五、士は三。此れ文を以て貴しと為すなり。 素を以て貴しと為す者有り。至敬は文無く、父党は容無く、大圭は琢(たく)せず、大羹(たいこう)は和せず、大路は素にして越席(かっせき)、犠尊(ぎそん)は疏布の鼏(べき)、樿杓(せんしゃく)。此れ素を以て貴しと為すなり。孔子曰く、「礼は、省みざるべからざるなり。礼は同じからず、豊かにせず、殺(そ)がず」と。此れの謂いなり。蓋し称を言うなり。
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孔子家語・五刑解冉有孔子に問いて曰わく:「先王法を制するに、刑をして大夫に上らざらしめ、禮をして庶人に下らざらしむ。然らば則ち大夫罪を犯すも、以て刑を加う可からず。庶人の行事も、以て禮に治む可からざるか。」孔子曰わく:「然らず。凡そ君子を治むるに禮を以て其の心を御するは、之を屬するに廉恥の節を以てする所以なり。故に古の大夫、其れ不廉汙穢に坐して退放せらるる者有るも、之を不廉汙穢にして退放すと謂わず、則ち簠簋飭まらずと曰う。淫亂男女別無きに坐する者有るも、之を淫亂男女別無しと謂わず、則ち帷幕修まらずと曰う。罔上不忠に坐する者有るも、之を罔上不忠と謂わず、則ち臣節未だ著れずと曰う。罷軟にして任に勝えざるに坐する者有るも、之を罷軟にして任に勝えずと謂わず、則ち下官職せずと曰う。國の紀を幹すに坐する者有るも、之を國の紀を幹すと謂わず、則ち行事請わずと曰う。此の五者、大夫既に自ら罪名有るを定むれども、猶お斥するに忍びず、然れども正しく以て之を呼ぶなり。既にして之が爲に諱む、愧恥せしむる所以なり。是の故に大夫の罪、其の五刑の域に在る者は、聞きて譴發せらるれば、則ち白冠厘纓、盤水に劍を加え、闕に造りて自ら罪を請う、君有司をして執縳牽掣して之に加えしめざるなり。其れ大罪有る者は、命を聞けば則ち北面再拜し、跪きて自裁す、君人をして捽引して刑殺せしめざるなり。曰わく:『子大夫自ら之を取るのみ、吾子に遇うこと禮有り』と。刑大夫に上らずして大夫も亦た其の罪を失わざるは、教の然らしむるなり。所謂禮庶人に下らずとは、庶人其の事を遽しくして禮を充つる能わざるを以て、故に之を責むるに禮を備うるを以てせざるなり。」冉有跪然として席を免れて曰わく:「言えば則ち美なり。求未だ之を聞かず、退きて之を記さん。」
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