礼記 / 礼器
禮有以文為貴者:天子龍袞,諸侯黼,大夫黻,士玄衣纁裳。天子之冕,朱綠藻,十有二旒,諸侯九,上大夫七,下大夫五,士三,此以文為貴也。 有以素為貴者:至敬無文,父黨無容,大圭不琢,大羹不和,大路素而越席,犧尊疏布鼏,樿杓;此以素為貴也。孔子曰:「禮,不可不省也!禮不同,不豐,不殺。」此之謂也。蓋言稱也。
新字:礼有以文為貴者:天子竜袞,諸侯黼,大夫黻,士玄衣纁裳。天子之冕,朱緑藻,十有二旒,諸侯九,上大夫七,下大夫五,士三,此以文為貴也。 有以素為貴者:至敬無文,父党無容,大圭不琢,大羹不和,大路素而越席,犠尊疏布鼏,樿杓;此以素為貴也。孔子曰:「礼,不可不省也!礼不同,不豊,不殺。」此之謂也。蓋言称也。
書き下し
礼に文を以て貴しと為す者有り。天子は竜袞(りょうこん)、諸侯は黼(ほ)、大夫は黻(ふつ)、士は玄衣纁裳(げんいくんしょう)。天子の冕(べん)は、朱緑の藻(そう)、十有二旒(りゅう)、諸侯は九、上大夫は七、下大夫は五、士は三。此れ文を以て貴しと為すなり。 素を以て貴しと為す者有り。至敬は文無く、父党は容無く、大圭は琢(たく)せず、大羹(たいこう)は和せず、大路は素にして越席(かっせき)、犠尊(ぎそん)は疏布の鼏(べき)、樿杓(せんしゃく)。此れ素を以て貴しと為すなり。孔子曰く、「礼は、省みざるべからざるなり。礼は同じからず、豊かにせず、殺(そ)がず」と。此れの謂いなり。蓋し称を言うなり。
現代語訳
礼には、文様の多いことを尊いとするものがある。天子は竜を描いた袞衣(こんい、礼服)を着、諸侯は斧の文様の黼(ほ)、大夫は亞の字形の文様の黻(ふつ)、士は黒い上衣に赤い裳を着る。天子の冕(べん、礼冠)は朱と緑の玉を連ねた紐飾りが十二本、諸侯は九本、上大夫は七本、下大夫は五本、士は三本である。これが文様の多いことを尊いとするものである。 礼には、飾りのない素朴さを尊いとするものがある。最高の敬意を表す場には文飾がなく、父の一族の前ではことさらな容儀をつくらず、天子の大圭(たいけい、大きな玉の笏)には彫刻をせず、祭りの大羹(たいこう、肉の汁)には調味をせず、大路(最上の車)は飾らずに蒲の敷物を用い、犠尊(ぎそん、牛の形の酒樽)は粗い布で覆い、白木の柄杓を用いる。これが素朴さを尊いとするものである。孔子は言った。「礼はよく考えなければならない。礼は身分によって同じでなく、むやみに豊かにもせず、むやみに減らしもしない」。これはこのことを言っているのであり、つまりは釣り合いを言うのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・礼器少なきを以て貴しと為す者有り。天子は介無し。天を祭るに特牲(とくせい)。天子諸侯に適けば、諸侯膳するに犢(とく)を以てす。諸侯相朝するに、灌(かん)するに鬱鬯(うっちょう)を用い、籩・豆の薦(せん)無し。大夫の聘礼には脯(ほ)・醢(かい)を以てす。天子は一食、諸侯は再、大夫士は三、食力は数無し。大路は繁纓(はんえい)一就、次路は繁纓七就。圭・璋は特にし、琥(こ)・璜(こう)は爵す。鬼神の祭は単席。諸侯朝を視るに、大夫は特にし、士は之を旅(りょ)にす。此れ少なきを以て貴しと為すなり。
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礼記・礼器喪祭の用、賓客の交わりは、義なり。 羔(こう)・豚にして祭りて、百官皆足り、大牢にして祭りて、必ずしも余り有らず。此れを之れ称と謂うなり。諸侯は亀を以て宝と為し、圭を以て瑞と為す。家は亀を宝とせず、圭を蔵せず、台門せず。称有るを言うなり。 礼に、多きを以て貴しと為す者有り。天子は七廟、諸侯は五、大夫は三、士は一。天子の豆は二十有六、諸公は十有六、諸侯は十有二、上大夫は八、下大夫は六。諸侯は七介・七牢、大夫は五介・五牢。天子の席は五重、諸侯の席は三重、大夫は再重。天子崩ずれば、七月にして葬り、五重八翣(そう)。諸侯は五月にして葬り、三重六翣。大夫は三月にして葬り、再重四翣。此れ多きを以て貴しと為すなり。
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礼記・礼器高きを以て貴しと為す者有り。天子の堂は九尺、諸侯は七尺、大夫は五尺、士は三尺。天子諸侯は台門す。此れ高きを以て貴しと為すなり。 下きを以て貴しと為す者有り。至敬は壇せず、地を埽(はら)いて祭る。天子諸侯の尊は禁(きん)を廃し、大夫士は棜(よ)・禁す。此れ下きを以て貴しと為すなり。
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礼記・礼器先王の礼を立つるや、本有り文有り。忠信は、礼の本なり。義理は、礼の文なり。本無ければ立たず、文無ければ行われず。 礼なる者は、天の時に合い、地の財に設け、鬼神に順い、人心に合い、万物を理(おさ)むる者なり。是の故に天の時に生有り、地の理に宜有り、人の官に能有り、物の曲に利有り。故に天の生ぜず、地の養わざるものは、君子以て礼と為さず、鬼神も饗(う)けざるなり。山に居りて魚鼈(ぎょべつ)を以て礼と為し、沢に居りて鹿豕を以て礼と為すは、君子之を礼を知らずと謂う。故に必ず其の定国の数を挙げて、以て礼の大経と為す。礼の大倫は、地の広狭を以てし、礼の薄厚は、年の上下と与(とも)にす。是の故に年大いに殺(そ)がると雖も、衆匡懼(きょうく)せず。則ち上の礼を制するや節なり。
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礼記・礼器古の聖人は、之を内にするを尊しと為し、之を外にするを楽しと為し、之を少なくするを貴しと為し、之を多くするを美と為す。是の故に先王の礼を制するや、多くすべからず、寡なくすべからず、唯だ其れ称(かな)うのみ。 是の故に君子大牢にして祭る、之を礼と謂う。匹士大牢にして祭る、之を攘(じょう)と謂う。管仲は鏤簋(ろうき)・朱紘(しゅこう)、山節・藻梲(そうせつ)、君子以て濫(らん)と為す。晏平仲(あんぺいちゅう)其の先人を祀るに、豚肩豆を揜(おお)わず。澣衣濯冠(かんいたくかん)して以て朝す。君子以て隘(あい)と為す。
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礼記・礼器君子曰く、「内に節無き者は、物を観て之を察せず。物を察せんと欲して礼に由らざれば、之を得ず。故に事を作すに礼を以てせざれば、之を敬せず。言を出だすに礼を以てせざれば、之を信ぜず。故に曰く、礼なる者は、物の致なり」と。 是の故に昔先王の礼を制するや、其の財物に因りて其の義を致すのみ。故に大事を作すには必ず天の時に順い、朝夕を為すには必ず日月に放(なら)い、高きを為すには必ず丘陵に因り、下きを為すには必ず川沢に因る。是の故に天時雨沢あれば、君子達(みな)亹亹(びび)たり。
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