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礼記 / 曲礼上

凡為人子之禮:冬溫而夏凊,昏定而晨省;在醜夷不爭。 夫為人子者,三賜不及車馬。故州閭鄉黨稱其孝也,兄弟親戚稱其慈也,僚友稱其弟也,執友稱其仁也,交遊稱其信也。見父之執:不謂之進,不敢進;不謂之退,不敢退;不問,不敢對。此孝子之行也。

新字:凡為人子之礼:冬温而夏凊,昏定而晨省;在醜夷不争。 夫為人子者,三賜不及車馬。故州閭郷党称其孝也,兄弟親戚称其慈也,僚友称其弟也,執友称其仁也,交遊称其信也。見父之執:不謂之進,不敢進;不謂之退,不敢退;不問,不敢対。此孝子之行也。

書き下し

凡そ人の子為(た)るの礼は、冬は温かにして夏は凊(すず)しくし、昏(くれ)に定めて晨(あした)に省(かえり)み、醜夷(しゅうい)に在りて争わず。 夫れ人の子為る者は、三賜も車馬に及ばず。故に州閭(しゅうりょ)郷党は其の孝を称し、兄弟親戚は其の慈を称し、僚友は其の弟(てい)を称し、執友は其の仁を称し、交遊は其の信を称す。父の執(しつ)を見ては、これを進めと謂わざれば、敢えて進まず。これを退けと謂わざれば、敢えて退かず。問わざれば、敢えて対えず。此れ孝子の行いなり。

現代語訳

およそ子としての礼は、冬には親の身を温かく、夏には涼しくして過ごしやすくし、夕べには親の寝床を整えて休ませ、朝には安否を問う。また同輩の仲間の間にあっては争わない。 そもそも子である者は、君から三度の賜り物(位の昇進)を受けても、車馬までは受けない。だから、村や郷里の人々はその孝行をたたえ、兄弟や親戚はその慈しみ深さをたたえ、同僚はその年長者への恭順をたたえ、志を同じくする友はその仁をたたえ、交際する人々はその信義をたたえるのである。父の親友に会ったときは、進めと言われなければ進み出ず、退けと言われなければ退かず、問われなければ自分から答えない。これが孝子の行いである。

解説

子が親に仕える礼の基本を述べた段で、「冬温夏凊、昏定晨省」は親孝行を言う成句として後世まで広く用いられた。冬は暖かく夏は涼しく、夕には寝所を整え朝には安否を問うという具体的な行為は、孝が大きな心構えである前に、日々の細やかな気配りであることを示している。「三賜も車馬に及ばず」について鄭玄は、三賜とは三命のことで、三命に至って車馬を受ければ身の尊さが備わるが、卿・大夫・士の子がこれを受けないのは、成った尊さで父を越えることをはばかるからだと注している。親が生きているうちは、自分の栄達を控えめにするという考え方である。その結果、郷里・親族・同僚・友人のそれぞれが、孝・慈・弟・仁・信とそれぞれの徳でその人をたたえるという構成は、家の内での孝がそのまま外での評判につながることを描いている。父の友人の前で、言われるまで進まず退かず答えないという結びは、親の世界に対する敬意の表し方である。親の友人や恩師に接するときの控えめさとして、今も生きる作法である。

この章句が説くこと

礼記孝昏定晨省親子曲礼

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