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礼記 / 曲礼上

若夫坐如尸,立如齊。禮從宜,使從俗。 夫禮者,所以定親疏,決嫌疑,別同異,明是非也。禮,不妄說人,不辭費。禮,不踰節,不侵侮,不好狎。脩身踐言,謂之善行。行脩言道,禮之質也。禮,聞取於人,不聞取人。禮,聞來學,不聞往教。

新字:若夫坐如尸,立如斉。礼従宜,使従俗。 夫礼者,所以定親疏,決嫌疑,別同異,明是非也。礼,不妄説人,不辞費。礼,不踰節,不侵侮,不好狎。脩身践言,謂之善行。行脩言道,礼之質也。礼,聞取於人,不聞取人。礼,聞来学,不聞往教。

書き下し

若(も)し夫(そ)れ坐すること尸(し)の如く、立つこと斉(さい)するが如くす。礼は宜しきに従い、使いしては俗に従う。 夫れ礼なる者は、親疏を定め、嫌疑を決し、同異を別ち、是非を明らかにする所以(ゆえん)なり。礼は、妄りに人を説(よろこ)ばしめず、辞を費やさず。礼は、節を踰(こ)えず、侵侮せず、狎(な)るるを好まず。身を脩め言を践む、これを善行と謂う。行い脩まり言道(みち)あるは、礼の質なり。礼は、人に取らるるを聞き、人を取るを聞かず。礼は、来たり学ぶを聞き、往きて教うるを聞かず。

現代語訳

坐るときは祭祀の尸(かたしろ、祖先の霊の代わりに祭りを受ける者)のように端正に、立つときは斎戒(さいかい、祭りの前に身を清めること)する者のように慎み深くする。礼はその場にふさわしいことに従い、使者として他国に行けばその土地の習俗に従う。 そもそも礼とは、親しい者と疎い者の別を定め、紛らわしい事柄をはっきり決め、同じものと異なるものを分け、是と非を明らかにするためのものである。礼においては、みだりに人の機嫌を取ろうとせず、むだな言葉を費やさない。礼においては、節度を越えず、人を侵したり侮ったりせず、なれなれしくすることを好まない。身を修め、言ったことを実行する、これを善行という。行いが修まり、言葉が道にかなっていること、それが礼の本体である。礼においては、人が慕ってやって来て自分から学ぶということは聞くが、こちらから人を引き寄せて従わせるということは聞かない。礼においては、学ぶ者が師のもとへ来て学ぶということは聞くが、師のほうから出向いて教えるということは聞かない。

解説

前段の「敬」を受けて、礼とは何のためにあるのかを定義する段である。まず坐る姿と立つ姿を尸と斎戒する者にたとえ、身の構えの端正さを求める。ついで「礼は宜しきに従う」と言い、礼が固定した型ではなく、場と相手に応じて適切さを選ぶものであることを示す。中心となるのは「親疏を定め、嫌疑を決し、同異を別ち、是非を明らかにする」の一句で、礼の働きを人と人との間に区別と筋道を立てることに見ている。そのうえで、へつらわない、言葉を費やさない、なれなれしくしない、と交わりの節度を並べ、身を修めて言葉を実行することを礼の本体と呼ぶ。末尾の「来たり学ぶを聞き、往きて教うるを聞かず」は、学ぶ側が求めてこそ教えが生きるという考えで、師が自らを安売りしない姿勢でもある。教える立場にある者が、相手の求めを待つことの意味を考えさせる一節である。

この章句が説くこと

礼記礼の本質節度師弟曲礼

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