翁問答 / 上卷之末
五曰考終命、これは天道の定め給ふ命のかずを皆盡して生理にしたがひて死するを云、已上この五つを五福と云なりさて又禍淫のわざはひを六極といひて六つあり、天道この六極をもて惡人をこらし給ふ、一に曰凶短折凶はあくぎやく無道にして犬死するを云短折は天道の定め給ふ命のかずよりまへかどに死するをいふ、二に曰疾、三に曰憂、四に曰貧、五に曰惡、これは自暴とてうまれつき剛强にして欲ふかく、仁孝の儒道をそしり罔し或は惡逆を好みおこなふを云、六に曰弱、これは自棄とて生れつき柔弱にして仁孝の儒道をよしとは思へども行ふ事あたはず、或は臆病にて欲ふかく、不義無道のふるまひのみ、畜生にも劣れる有樣なる柔惡の人を云、以上此六つを六極と云なり、
新字:五曰考終命、これは天道の定め給ふ命のかずを皆尽して生理にしたがひて死するを云、已上この五つを五福と云なりさて又禍淫のわざはひを六極といひて六つあり、天道この六極をもて悪人をこらし給ふ、一に曰凶短折凶はあくぎやく無道にして犬死するを云短折は天道の定め給ふ命のかずよりまへかどに死するをいふ、二に曰疾、三に曰憂、四に曰貧、五に曰悪、これは自暴とてうまれつき剛強にして欲ふかく、仁孝の儒道をそしり罔し或は悪逆を好みおこなふを云、六に曰弱、これは自棄とて生れつき柔弱にして仁孝の儒道をよしとは思へども行ふ事あたはず、或は臆病にて欲ふかく、不義無道のふるまひのみ、畜生にも劣れる有様なる柔悪の人を云、以上此六つを六極と云なり、
書き下し
五曰考終命、これは天道の定め給ふ命のかずを皆尽して生理にしたがひて死するを云、已上この五つを五福と云なりさて又禍淫のわざはひを六極といひて六つあり、天道この六極をもて悪人をこらし給ふ、一に曰凶短折凶はあくぎやく無道にして犬死するを云短折は天道の定め給ふ命のかずよりまへかどに死するをいふ、二に曰疾、三に曰憂、四に曰貧、五に曰悪、これは自暴とてうまれつき剛強にして欲ふかく、仁孝の儒道をそしり罔し或は悪逆を好みおこなふを云、六に曰弱、これは自棄とて生れつき柔弱にして仁孝の儒道をよしとは思へども行ふ事あたはず、或は臆病にて欲ふかく、不義無道のふるまひのみ、畜生にも劣れる有様なる柔悪の人を云、以上此六つを六極と云なり、
現代語訳
五に考終命、これは天道の定めなさる命数をみな尽くして、生の理にしたがって死ぬことをいう。以上この五つを五福という。さてまた淫に禍する災いを六極といって六つある。天道はこの六極をもって悪人を懲らしなさる。一に凶短折、凶とは悪逆無道で犬死にすることをいい、短折とは天道の定めなさる命数より前に死ぬことをいう。二に疾、三に憂、四に貧、五に悪、これは自暴といって、生まれつき剛強で欲深く、仁孝の儒道をそしりないがしろにし、あるいは悪逆を好んで行うことをいう。六に弱、これは自棄といって、生まれつき柔弱で、仁孝の儒道をよいとは思っても行うことができず、あるいは臆病で欲深く、不義無道のふるまいばかりで、畜生にも劣るありさまの柔悪の人をいう。以上この六つを六極という。
解説
この章句が説くこと
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