翁問答 / 上卷之本
體充問曰五倫の道其名をば承り候得共、精しき理をば不存候、全孝の心法日用の急務にて候得者詳かに承り度候。師の曰倫は次第なり、人間の次第差別五つある故に五倫と名付けたり五倫の道常に在て無始無終物なれば五典と云典は常と讀む字なり五典を人に敎化するを五敎と云、五典の心の中に備はりたるを五常の性と云、親と子と一倫なり、君と臣と一倫なり、夫と妻と一倫也、兄と弟と一倫なり、友だちの交り一倫なり、是れを五倫と云、人間の次第差別此五つに極れり、
新字:体充問曰五倫の道其名をば承り候得共、精しき理をば不存候、全孝の心法日用の急務にて候得者詳かに承り度候。師の曰倫は次第なり、人間の次第差別五つある故に五倫と名付けたり五倫の道常に在て無始無終物なれば五典と云典は常と読む字なり五典を人に教化するを五教と云、五典の心の中に備はりたるを五常の性と云、親と子と一倫なり、君と臣と一倫なり、夫と妻と一倫也、兄と弟と一倫なり、友だちの交り一倫なり、是れを五倫と云、人間の次第差別此五つに極れり、
書き下し
体充問曰五倫の道其名をば承り候得共、精しき理をば不存候、全孝の心法日用の急務にて候得者詳かに承り度候。師の曰倫は次第なり、人間の次第差別五つある故に五倫と名付けたり五倫の道常に在て無始無終物なれば五典と云典は常と読む字なり五典を人に教化するを五教と云、五典の心の中に備はりたるを五常の性と云、親と子と一倫なり、君と臣と一倫なり、夫と妻と一倫也、兄と弟と一倫なり、友だちの交り一倫なり、是れを五倫と云、人間の次第差別此五つに極れり、
現代語訳
体充が問うた。五倫の道は、その名は伺っておりますが、詳しい理は存じません。全孝の心法は日々の急務ですから、詳しくお聞きしたいと存じます。師は答えた。倫とは次第である。人間の次第と区別が五つあるので五倫と名づけた。五倫の道は常にあって始めも終わりもないものなので五典という。典は常と読む字である。五典を人に教化することを五教といい、五典が心の中に備わっているのを五常の性という。親と子で一倫、君と臣で一倫、夫と妻で一倫、兄と弟で一倫、友だちの交わりで一倫である。これを五倫という。人間の次第と区別はこの五つに極まる。
解説
この章句が説くこと
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