日本伝治乱要決 / 應亂卷・戦の格の移り変わりと騎戦・歩戦
戰格第九神代より合戰ありて、世々いくばくといふ事をしらず、共に雌雄を決するの外に出ずといへども、上代中古近世、其格各異なり、殺器寡きより漸々に增加し、末に至て衆多なり、其具の業によつて戰の格世を追て變革す、自然の姿なり、格の異なれるを不知時は勝負の任となるべからず、格を知て格になづみ、戰の大事を失ふ時は亦勝を制するとあるべからず、合戰は我を丈夫にして破るゝ所なく、能備へ、敵を見て其虛を擊、單烈にして屈する所なき、明將の業なり、これを本として格を盡さば、其具の多少、備形の異る、千萬ありといへども、なんぞ心を勞するにたらん、あるにまかせて用をなし、なづむ所あるべからず、騎戰第十古格なり、迅速の業をなす、よく備を破り、勝負に喰付事なし、よく芝居を分け追切に宜し、嶮難に用ゆべからず、平場の業なり、人馬鍛錬の發する所なり、其業品ありといへども、業になづんで其機を失ふべからず、愼んで其要を決得すべし、歩戰第十一近格なり、嚴密のわざをなす、よく町場を詰て決戰をなす、よく芝居を蹈へ、亂れて列をうしなはず、嶮難に便利にして平場に位を落す事あり、坐作進退息合の大事、改氣の術、場詰の見決に達せずんば、步戰の妙に至る事あるべからず、
新字:戦格第九神代より合戦ありて、世々いくばくといふ事をしらず、共に雌雄を決するの外に出ずといへども、上代中古近世、其格各異なり、殺器寡きより漸々に增加し、末に至て衆多なり、其具の業によつて戦の格世を追て変革す、自然の姿なり、格の異なれるを不知時は勝負の任となるべからず、格を知て格になづみ、戦の大事を失ふ時は亦勝を制するとあるべからず、合戦は我を丈夫にして破るゝ所なく、能備へ、敵を見て其虚を撃、単烈にして屈する所なき、明将の業なり、これを本として格を尽さば、其具の多少、備形の異る、千万ありといへども、なんぞ心を労するにたらん、あるにまかせて用をなし、なづむ所あるべからず、騎戦第十古格なり、迅速の業をなす、よく備を破り、勝負に喰付事なし、よく芝居を分け追切に宜し、嶮難に用ゆべからず、平場の業なり、人馬鍛錬の発する所なり、其業品ありといへども、業になづんで其機を失ふべからず、慎んで其要を決得すべし、歩戦第十一近格なり、厳密のわざをなす、よく町場を詰て決戦をなす、よく芝居を蹈へ、乱れて列をうしなはず、嶮難に便利にして平場に位を落す事あり、坐作進退息合の大事、改気の術、場詰の見決に達せずんば、歩戦の妙に至る事あるべからず、
書き下し
戰格第九神代より合戰ありて、世々いくばくといふ事をしらず、共に雌雄を決するの外に出ずといへども、上代中古近世、其格各異なり、殺器寡きより漸々に增加し、末に至て衆多なり、其具の業によつて戰の格世を追て變革す、自然の姿なり、格の異なれるを不知時は勝負の任となるべからず、格を知て格になづみ、戰の大事を失ふ時は亦勝を制するとあるべからず、合戰は我を丈夫にして破るゝ所なく、能備へ、敵を見て其虛を擊、單烈にして屈する所なき、明將の業なり、これを本として格を盡さば、其具の多少、備形の異る、千萬ありといへども、なんぞ心を勞するにたらん、あるにまかせて用をなし、なづむ所あるべからず、騎戰第十古格なり、迅速の業をなす、よく備を破り、勝負に喰付事なし、よく芝居を分け追切に宜し、嶮難に用ゆべからず、平場の業なり、人馬鍛錬の發する所なり、其業品ありといへども、業になづんで其機を失ふべからず、愼んで其要を決得すべし、歩戰第十一近格なり、嚴密のわざをなす、よく町場を詰て決戰をなす、よく芝居を蹈へ、亂れて列をうしなはず、嶮難に便利にして平場に位を落す事あり、坐作進退息合の大事、改氣の術、場詰の見決に達せずんば、步戰の妙に至る事あるべからず、
現代語訳
戦格第九。神代から合戦があり、代々どれほどあったか分かりませんが、いずれも雌雄を決することの外には出ません。ただ上代・中古・近世でその格(型)はそれぞれ異なります。殺傷の器が少ない時代から次第に増え、末には非常に多くなりました。その道具の働きによって戦の格が世とともに変わるのは、自然のなりゆきです。格の違いを知らなければ勝負を任せられる者にはなれません。かといって格を知っても格にとらわれて戦の大事を失えば、やはり勝ちを制することはできません。合戦とは、我が身を堅固にして破れるところなく、よく備え、敵を見てその虚を撃ち、単独でも連なっても屈しないという、名将の業です。これを本として格を尽くすならば、道具の多少や備えの形の違いが千万あろうとも、どうして心を労するに足りましょう。あるものに任せて用い、とらわれてはなりません。騎戦第十。古い格です。迅速の業をなし、よく備えを破り、勝負に食いつくことがありません。よく平らな地を見分け、追い切るのに適し、険しい難所には用いられません。平場の業で、人馬の鍛錬から生まれるものです。その業には種類がありますが、業にとらわれて機を失ってはなりません。慎んでその要を会得すべきです。歩戦第十一。近い格です。厳密な業をなし、よく町場(狭い場所)を詰めて決戦をします。よく地を踏まえ、乱れても列を失わず、険しい難所には便利ですが、平場では位を落とすことがあります。坐作進退・息合いの大事、気を改める術、場を詰める見極めに達しなければ、歩戦の妙に至ることはできません。
解説

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孟子・告子章句上孟季子、公都子に問いて曰く、「何を以て義は內と謂うや。」曰く、「吾が敬を行う。故に之を內と謂うなり。」「鄉人、伯兄より長ずること一歲ならば、則ち誰をか敬せん。」曰く、「兄を敬せん。」「酌まば則ち誰をか先にせん。」曰く、「先づ鄉人に酌まん。」「敬する所は此に在り、長ずる所は彼に在り。果して外に在り。内に由るに非ざるなり。」公都子、答うること能わず。以て孟子に告ぐ。孟子曰く、「叔父を敬せんか、弟を敬せんか、ととえ。彼將に曰んとす、『叔父を敬せん。』曰え、『弟、尸為らば、則ち誰をか敬せん。』彼將に曰んとす、『弟を敬せん。』子曰え、『惡にか在る其の叔父を敬するや。』彼將に曰んとす、『位に在るの故なり。』子亦た曰え、『位に在るの故ならば、庸の敬は兄に在り、斯須の敬は鄉人に在り。』」季子之を聞きて曰く、「叔父を敬すべければ則ち敬し、弟を敬すべければ則ち敬す。果して外に在り。内に由るに非ざるなり。」公都子曰く、「冬日は則ち湯を飲み、夏日は則ち水を飲む。然らば則ち飲食も亦た外に在るか。」
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