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日本伝治乱要決 / 應亂卷・物候・行軍・陣営と人気の養い

物候第四戰に臨んで敵の虛實を辨せずんば何によつてか勝を制せん、勝負に先だつて人をして敵の虛實を看決なすべし、天時地理備形陣營城壘騎士歩卒飛戟殺勢の器みな物にあらずといふ事なし、其名目によらずして其物を見得すべし、目に見て心見る所にとゞき、耳に聞て心聞く所にとどく、如斯なる時は、内外の虛實徹得せずといふ事なし、行軍第五兵を帥て遠く敵國へ行、古今の難しとする所なり、人氣欲する時は千里もよく行、人氣欲せざる時は數里も行べからず、三軍功を目當として其氣行んことを欲す、欲する者を卒して行しむ、何の難きとか是あらん、江海に舟梁あり、山嶽にひらくべき道あり、しかれども勝負に心なき時は、行といへども何をかなさん、變に逢ふて忽折く、故に人氣を養ひ、咫尺敵を見るが如くならば、行列警禁止鳴の制自然に備て、敵になづむの愁なからん、陣營第六勢氣乘る時はよく敵を破り、勢氣屈する時は忽敗散す、すべて人氣は休するによつてよくやしなひ、休するによつて却て折く、故に古往陣營の制勝負の大事とす、三軍の勇氣を養て、發機其圖を失なはしめざるは、營法の大事にあり、糧道地形勢氣を養ふの根本なり、陣形運動發機を宜しくなさしむ、其業多端といへども、要をしむる時は、一繩のはる所堅陣を失なふべからず、

新字:物候第四戦に臨んで敵の虚実を弁せずんば何によつてか勝を制せん、勝負に先だつて人をして敵の虚実を看決なすべし、天時地理備形陣営城塁騎士歩卒飛戟殺勢の器みな物にあらずといふ事なし、其名目によらずして其物を見得すべし、目に見て心見る所にとゞき、耳に聞て心聞く所にとどく、如斯なる時は、内外の虚実徹得せずといふ事なし、行軍第五兵を帥て遠く敵国へ行、古今の難しとする所なり、人気欲する時は千里もよく行、人気欲せざる時は数里も行べからず、三軍功を目当として其気行んことを欲す、欲する者を卒して行しむ、何の難きとか是あらん、江海に舟梁あり、山嶽にひらくべき道あり、しかれども勝負に心なき時は、行といへども何をかなさん、変に逢ふて忽折く、故に人気を養ひ、咫尺敵を見るが如くならば、行列警禁止鳴の制自然に備て、敵になづむの愁なからん、陣営第六勢気乗る時はよく敵を破り、勢気屈する時は忽敗散す、すべて人気は休するによつてよくやしなひ、休するによつて却て折く、故に古往陣営の制勝負の大事とす、三軍の勇気を養て、発機其図を失なはしめざるは、営法の大事にあり、糧道地形勢気を養ふの根本なり、陣形運動発機を宜しくなさしむ、其業多端といへども、要をしむる時は、一縄のはる所堅陣を失なふべからず、

書き下し

物候第四戰に臨んで敵の虛實を辨せずんば何によつてか勝を制せん、勝負に先だつて人をして敵の虛實を看決なすべし、天時地理備形陣營城壘騎士歩卒飛戟殺勢の器みな物にあらずといふ事なし、其名目によらずして其物を見得すべし、目に見て心見る所にとゞき、耳に聞て心聞く所にとどく、如斯なる時は、内外の虛實徹得せずといふ事なし、行軍第五兵を帥て遠く敵國へ行、古今の難しとする所なり、人氣欲する時は千里もよく行、人氣欲せざる時は數里も行べからず、三軍功を目當として其氣行んことを欲す、欲する者を卒して行しむ、何の難きとか是あらん、江海に舟梁あり、山嶽にひらくべき道あり、しかれども勝負に心なき時は、行といへども何をかなさん、變に逢ふて忽折く、故に人氣を養ひ、咫尺敵を見るが如くならば、行列警禁止鳴の制自然に備て、敵になづむの愁なからん、陣營第六勢氣乘る時はよく敵を破り、勢氣屈する時は忽敗散す、すべて人氣は休するによつてよくやしなひ、休するによつて却て折く、故に古往陣營の制勝負の大事とす、三軍の勇氣を養て、發機其圖を失なはしめざるは、營法の大事にあり、糧道地形勢氣を養ふの根本なり、陣形運動發機を宜しくなさしむ、其業多端といへども、要をしむる時は、一繩のはる所堅陣を失なふべからず、

現代語訳

物候第四 戦いに臨んで敵の虚実を弁えなければ、何によって勝ちを制することができるでしょうか。勝負に先立って、人に敵の虚実を見極めさせるべきです。天時・地理・備形・陣営・城塁・騎士・歩卒・飛戟(飛び道具)・殺勢の器は、みな物でないものはありません。その名目によらず、その物を見て取るべきです。目で見て心が見るところに届き、耳で聞いて心が聞くところに届く、このようであるときは、内外の虚実を見通せないことはありません。行軍第五 兵を率いて遠く敵国へ行くことは、古今難しいとするところです。人の気が欲するときは千里もよく行き、人の気が欲しないときは数里も行けません。三軍が功を目当てとして、その気が行こうとすることを欲します。欲する者を率いて行かせます。何の難しいことがありましょう。江海には舟や橋があり、山岳には開くべき道があります。けれども勝負に心がないときは、行ってもなにをなすでしょうか。変に逢ってたちまち挫けます。ゆえに人気を養い、すぐ近くに敵を見るようであれば、行列や警戒、止め鳴らす合図の制度は自然に備わって、敵に手間取る愁いはないでしょう。陣営第六 勢気に乗るときはよく敵を破り、勢気が屈するときはたちまち敗れ散ります。すべて人気は休むことでよく養われ、休むことでかえって挫けます。ゆえに昔から陣営の制は勝負の大事とされています。三軍の勇気を養い、機を発して(行動に移して)その図を失わせないことは、営法の大事にあります。糧道・地形は勢気を養う根本です。陣形や運動は、機の発し方を適切にさせます。その業は多端ですが、要を締めるときは、一本の縄の張るところ、堅陣を失ってはなりません。

解説

物候の章は、実態を名目でなく実物で見極める大切さを、行軍の章は、人の気が進もうとして初めて遠くへ行けることを説きます。陣営の章は、休息が気力を養い、また挫くこともあるため、兵站と体制を整えることを大事とします。戦いの言葉は歴史的な文脈として読み、現代の管理職は、肩書や数字の見かけでなく実態を見る目と、メンバーのやる気を養う環境整備に結びつけて受け取れます。休ませ方と物資の手当てが、成果を左右します。
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この章句が説くこと

『日本伝治乱要決』高山健貞物候行軍陣営人気

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