孫子 / 行軍篇
凡地有絕澗,遇天井、天牢、天羅、天陷、天隙,必亟去之,勿近也。
新字:凡地有絶澗,遇天井、天牢、天羅、天陥、天隙,必亟去之,勿近也。
書き下し
凡そ地に絶澗有り、天井・天牢・天羅・天陥・天隙に遇わば、必ず亟やかにこれを去り、近づくこと勿かれ。
現代語訳
険しく切り立った谷、四方を囲まれた窪地(天井)、逃げ場のない牢のような地(天牢)、身動きの取れない網状の地(天羅)、落ち込む陥没地(天陥)、狭い裂け目(天隙)——こうした危険な地に出くわしたら、速やかに離れ、決して近づいてはならない。
解説
行軍篇で、避けるべき「死地形」を列挙した一節です。孫子は、逃げ場のない窪地や身動きの取れない険しい地形を「天井・天牢・天羅」などと名づけ、そこに近づくことすら禁じます。いったん入り込めば、敵に囲まれて壊滅しかねないからです。危険な地は、戦う前に「避ける」のが最善だ、というのです。仕事でも、そもそも足を踏み入れるべきでない「罠のような状況」があります。抜け出せない契約、身動きの取れない体制、逃げ場のない依存関係——入ってから対処するより、近づかないのが賢明です。危険を察知したら、戦わずに離れる。勇気とは突っ込むことではなく、避けるべきを避けること。危地には近づかないという慎重さの価値を、この一節は教えます。
この章句が説くこと
分割行軍連絡危地を避ける近づかない勇気リスク
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