孟子 / 盡心章句上
孟子曰:「雞鳴而起,孳孳為善者,舜之徒也。雞鳴而起,孳孳為利者,跖之徒也。欲知舜與跖之分,無他,利與善之間也。」
新字:孟子曰:「鶏鳴而起,孳孳為善者,舜之徒也。鶏鳴而起,孳孳為利者,跖之徒也。欲知舜与跖之分,無他,利与善之間也。」
書き下し
孟子曰く、「鶏鳴にして起き、孳孳として善を為す者は、舜の徒なり。鶏鳴にして起き、孳孳として利を為す者は、跖の徒なり。舜と跖との分を知らんと欲せば、他無し、利と善との間なり。」
現代語訳
孟子は言った。「鶏が鳴くと起き出して、せっせと善を行う者は、舜の仲間である。鶏が鳴くと起き出して、せっせと利益を追う者は、跖(せき、伝説の大盗賊)の仲間である。舜と跖の違いを知りたいなら、ほかでもない、利益と善とのわずかな隔たりにある。」
解説
朝早くから熱心に働くという点では、聖人の舜も大盗賊の跖も変わりません。違いは、その熱心さを善に向けるか、利に向けるかだけだと孟子は言います。勤勉さそのものは美徳に見えますが、何のために勤勉なのかを問わなければ、聖人にも盗賊にもなり得るという鋭い指摘です。孟子は梁の恵王との問答以来、利を先にすることを一貫して戒め、仁義を先にすれば利は後からついてくると説きました。舜と跖の分かれ目が「利と善との間」というわずかな差にあるという言葉は、人が道を踏み外すのは大きな決断ではなく、日々の小さな動機の積み重ねからだと教えています。自分の頑張りが何に向かっているかを、ときどき問い直したいものです。
この章句が説くこと
義利善と利益舜目的正しい選択勤勉
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