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名将言行録 / 『名将言行録』加藤嘉明 子の明成と家の失墜

尤も、當時武將としては相當尊敬されてゐたわけで、家光の鎧の着初に、肩入の役を務めたことに依つても、嘉明の位置が分る。 子の明成は、猛氣だけは、父に似てゐたが、暗愚であつたゝめ、家臣の堀主水と喧嘩し、主水が高野山には入つたのを、(四十萬國の家國に替へても主水を戴きたい)と幕府に嘆願し、主水を獲て之を殺したはいゝが、自分が與へた言質のために、四十萬石を失つてしまつたのである。

新字:尤も、当時武将としては相当尊敬されてゐたわけで、家光の鎧の着初に、肩入の役を務めたことに依つても、嘉明の位置が分る。 子の明成は、猛気だけは、父に似てゐたが、暗愚であつたゝめ、家臣の堀主水と喧嘩し、主水が高野山には入つたのを、(四十万国の家国に替へても主水を戴きたい)と幕府に嘆願し、主水を獲て之を殺したはいゝが、自分が与へた言質のために、四十万石を失つてしまつたのである。

書き下し

尤も、當時武將としては相當尊敬されてゐたわけで、家光の鎧の着初に、肩入の役を務めたことに依つても、嘉明の位置が分る。 子の明成は、猛氣だけは、父に似てゐたが、暗愚であつたゝめ、家臣の堀主水と喧嘩し、主水が高野山には入つたのを、(四十萬國の家國に替へても主水を戴きたい)と幕府に嘆願し、主水を獲て之を殺したはいゝが、自分が與へた言質のために、四十萬石を失つてしまつたのである。

現代語訳

もっとも、当時の武将としては相当尊敬されていたわけで、家光の鎧の着初めに、肩入れの役を務めたことによっても、嘉明の位置が分かる。 子の明成は、猛気だけは父に似ていたが、暗愚であったために、家臣の堀主水と喧嘩し、主水が高野山に入ったのを、(四十万石の家国に替えても主水をいただきたい)と幕府に嘆願し、主水を得てこれを殺したのはいいが、自分が与えた言質のために、四十万石を失ってしまったのである。

解説

菊池寛は評で、家光の鎧の着初めに肩入れ役を務めた事実から、嘉明の位置が分かると述べます。そして子の明成を、猛気は父に似るが暗愚と評し、堀主水との確執の末に、四十万石を失ったと述べます。ここは菊池個人の見方であり、実際の経緯や評価は研究によって異なりえます。親の築いた地位や信頼が、次の代の判断一つで崩れることがある、という点は事業承継にも通じます。権限を引き継ぐ人の判断力と、約束の重さについて考えさせる章句です。
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この章句が説くこと

嘉明菊池寛の評明成堀主水改易事業承継

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