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名将言行録 / 『名将言行録』豐臣秀吉 いろはと八道の色分け

○此役、或人漢文を善くする者を撰びて召連られ、書記の事を知らしめ給ふべしと申す。秀吉笑て、今吾我國のいろはを以て萬國に布き行ふべし、異國の文字何の益かあるべきと言はれけり。又秀吉、朝鮮八道の名を記臆すること能はず、畫工に命じ、之を曲屏に圖せしめ、色にて八道を區別し、韓を征するに及び、色圖を諸將に送り、各赤國、靑國、白國を以て相通ずと云ふ。

新字:○此役、或人漢文を善くする者を撰びて召連られ、書記の事を知らしめ給ふべしと申す。秀吉笑て、今吾我国のいろはを以て万国に布き行ふべし、異国の文字何の益かあるべきと言はれけり。又秀吉、朝鮮八道の名を記臆すること能はず、画工に命じ、之を曲屏に図せしめ、色にて八道を区別し、韓を征するに及び、色図を諸将に送り、各赤国、青国、白国を以て相通ずと云ふ。

書き下し

○此役、或人漢文を善くする者を撰びて召連られ、書記の事を知らしめ給ふべしと申す。秀吉笑て、今吾我國のいろはを以て萬國に布き行ふべし、異國の文字何の益かあるべきと言はれけり。又秀吉、朝鮮八道の名を記臆すること能はず、畫工に命じ、之を曲屏に圖せしめ、色にて八道を區別し、韓を征するに及び、色圖を諸將に送り、各赤國、靑國、白國を以て相通ずと云ふ。

現代語訳

この戦いで、ある人が、漢文を得意とする者を選んで召し連れられ、書記のことを担当させるのがよいでしょう、と申した。秀吉は笑って、今、私は我が国のいろはをもって万国に敷き行うのだ、異国の文字が何の益になるか、と言われた。また秀吉は、朝鮮八道の名を記憶することができず、画工に命じて、これを曲屏風に描かせ、色で八道を区別し、韓を征するに及んで、色の図を諸将に送り、おのおの赤国、青国、白国と呼んで通用させたということである。

解説

朝鮮出兵のなかで、漢文の書記を置くことを退け、いろはを万国に敷くと言い放つ話と、八道の名を覚えられず色分けの屏風を描かせた話が並びます。前者は成立当時の国家意識を示す言い方で、現代の価値観では受け入れにくい面があります。後者は、覚えにくい地名を色で区分して、全軍が共通の呼び名を使えるようにした実務の工夫として読めます。複雑な情報を、誰でも使える記号に置き換えて共有する発想です。現代の組織でも、専門用語や地域名をそのまま使うより、共通の簡単な呼び名や色分けを作る方が、伝達の誤りを減らします。
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この章句が説くこと

色分け朝鮮八道共通言語情報共有屏風記号化

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