重職心得箇条 / 第十六条
物事を隠す風儀甚だあしし。機事は密なるべけれども、打ち出して能(よ)き事迄も韜(つつ)み隠す時は却って衆人に探る心を持たせる様になるもの也。
書き下し
物事を隠す風儀甚だあしし。機事は密なるべけれども、打ち出して能(よ)き事迄も韜(つつ)み隠す時は却って衆人に探る心を持たせる様になるもの也。
現代語訳
物事を隠す気風は、はなはだよくない。機密は当然秘すべきだが、公にしてよいことまで包み隠すと、かえって人々に探ろうとする心を持たせることになる。
解説
物事を隠す風儀はよくない、と一斎は短く述べます。機密は当然秘すべきですが、公にしてよいことまで包み隠すと、かえって人々に探る心を持たせてしまうというのです。前条の疑心暗鬼とつながる指摘です。情報を抱え込む幹部のもとでは、憶測や噂が情報の代わりに流れ、現場は本来の仕事から離れていきます。何を隠すべきか、何を開くべきかの線引きをはっきりさせ、開けるものは進んで開くことが、組織の信頼を保つ現実的な手立てになります。
この章句が説くこと
隠す機密情報共有透明性憶測重職心得箇条
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