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名将言行録 / 『名将言行録』豐臣秀吉 首の数より士の質

○此役、前田利家、上杉景勝、八王子城を屠る。利家より討取首數三千、景勝より百五十到來せり。人々上杉は承はり及びたる手柄人と申せども、首數少し、前田は首數多し、上杉よりは勝れたりと申ければ、秀吉聞て、何をも知らずして申すもの哉、八王子城には、左程に多分の能き人數は籠るべきにあらず、前田が越したる三千の首は、大方鄕人百姓共の首たるべし、上杉が越したる首は、何れも士の首なるべし、前田が三千の首よりは勝るべし、重ねて左樣の不智なることを申間敷と叱られけり。

新字:○此役、前田利家、上杉景勝、八王子城を屠る。利家より討取首数三千、景勝より百五十到来せり。人々上杉は承はり及びたる手柄人と申せども、首数少し、前田は首数多し、上杉よりは勝れたりと申ければ、秀吉聞て、何をも知らずして申すもの哉、八王子城には、左程に多分の能き人数は籠るべきにあらず、前田が越したる三千の首は、大方郷人百姓共の首たるべし、上杉が越したる首は、何れも士の首なるべし、前田が三千の首よりは勝るべし、重ねて左様の不智なることを申間敷と叱られけり。

書き下し

○此役、前田利家、上杉景勝、八王子城を屠る。利家より討取首數三千、景勝より百五十到來せり。人々上杉は承はり及びたる手柄人と申せども、首數少し、前田は首數多し、上杉よりは勝れたりと申ければ、秀吉聞て、何をも知らずして申すもの哉、八王子城には、左程に多分の能き人數は籠るべきにあらず、前田が越したる三千の首は、大方鄕人百姓共の首たるべし、上杉が越したる首は、何れも士の首なるべし、前田が三千の首よりは勝るべし、重ねて左樣の不智なることを申間敷と叱られけり。

現代語訳

この戦いで、前田利家と上杉景勝は八王子城を攻め落とした。利家からは討ち取った首の数三千、景勝からは百五十が到来した。人々は、上杉は名高い手柄人であるが、首の数は少なく、前田は首の数が多く、上杉より勝っていると言った。秀吉はそれを聞いて、何も知らずに申すことよ、八王子城には、それほど多くのすぐれた人数は籠っていない、前田が送った三千の首は、おおかた郷人や百姓たちの首であろう、上杉が送った首は、いずれも士の首であろう、前田の三千の首よりも勝っている、重ねてそのような不智なことを言うな、と叱られた。

解説

八王子城攻めで、前田利家の三千の首より、上杉景勝の百五十の首の方が価値があると、秀吉が見抜いたという逸話です。数が多いことだけを成果とせず、誰を討ち取ったのかという質を見る眼を示しています。成立当時の戦功評価の話で、数を競う風潮そのものを肯定する意図ではありません。現代の仕事に置き換えれば、件数や数量だけで成果を評価せず、その中身に目を向けることの大切さです。営業の訪問件数、制作物の本数、問い合わせの数など、指標が増えても質が伴わなければ意味が薄いという教訓として読めます。
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この章句が説くこと

評価数と質八王子城上杉景勝前田利家成果指標

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