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尉繚子 / 兵教上

令民背國門之限,決死生之分,敎之死而不疑者,有以也。令守者必固,戰者必鬭,奸謀不作,姦民不語,令行無變,兵行無猜,輕者若霆,奮敵若驚。舉功别德,明如白黑,

新字:令民背国門之限,決死生之分,教之死而不疑者,有以也。令守者必固,戦者必闘,奸謀不作,姦民不語,令行無変,兵行無猜,軽者若霆,奮敵若驚。舉功別徳,明如白黒,

書き下し

民をして国門の限を背にし、死生の分を決せしめ、之に死して疑はざるを教ふる者は、以有るなり。守る者をして必ず固く、戦ふ者をして必ず闘ひ、奸謀作らず、姦民語らず、令行はれて変無く、兵行はれて猜無く、軽き者は霆の若く、敵に奮ふこと驚くが若くせしむ。功を挙げ徳を別つこと、明らかなること白黒の如く、

現代語訳

民に都の門の境を背にさせて(出陣させ)、生きるか死ぬかの分かれ目を覚悟させ、死ぬことをためらわないように教えることができるのには、それなりの理由がある。守る者には必ず守りを固くさせ、戦う者には必ず戦わせ、悪だくみを起こさせず、悪い民にも陰口をきかせず、命令が行われて変わることがなく、兵が動いて互いに疑い合うことがなく、身軽な者は雷のように速く、敵に向かって奮い立つさまは驚いた獣のようにさせるのである。手柄のある者を取り立て、徳ある者を見分けることが、白と黒のようにはっきりしていて、(それによって民が上の命令に従うのである。)

解説

兵教上篇の結びに近い一節で、民が国門を背にして死を恐れずに戦えるのには理由があると言う。守る者は必ず固く守り、戦う者は必ず戦い、悪だくみも陰口も起こらず、命令は一貫し、兵は互いを疑わない。そうした軍は雷のように速く、奮い立って敵に向かう。その理由として挙げられるのが、功績を取り立て徳を見分けることが白黒のように明らかであることで、本篇はこれに続けて、民が上の命令に従うさまを手足が心に応じるようだとたとえる。前段の教練と賞罰の規定を受けて、評価の明快さこそが死を恐れない軍をつくるとまとめる所である。組織でも、誰が何をして報われたのかが誰の目にも明らかであれば、人は疑わずに力を出す。評価の不透明さは、士気を最も損なうものの一つである。

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