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明君家訓 / 第10条

家中の士武備をわするまじく候、武備とは分限相應の人馬、其外武用の道具所持いたし、射騎劔鎗の伎術も不案内に無之程に可有稽古候、但其道の師を致す者の外、あまり精出し相究め候儀は無用に候、不斷手馴候樣にいたすべく候、軍法は常に會議有べき事に候、但軍中の法令は内々定め置候通りにて候、平生被致存知、戰塲に臨て失念無之樣に可被相心得候

新字:家中の士武備をわするまじく候、武備とは分限相応の人馬、其外武用の道具所持いたし、射騎剣鎗の伎術も不案内に無之程に可有稽古候、但其道の師を致す者の外、あまり精出し相究め候儀は無用に候、不断手馴候様にいたすべく候、軍法は常に会議有べき事に候、但軍中の法令は内々定め置候通りにて候、平生被致存知、戦塲に臨て失念無之様に可被相心得候

書き下し

家中の士武備をわするまじく候、武備とは分限相應の人馬、其外武用の道具所持いたし、射騎劔鎗の伎術も不案内に無之程に可有稽古候、但其道の師を致す者の外、あまり精出し相究め候儀は無用に候、不斷手馴候樣にいたすべく候、軍法は常に會議有べき事に候、但軍中の法令は内々定め置候通りにて候、平生被致存知、戰塲に臨て失念無之樣に可被相心得候

現代語訳

家中の士は武備を忘れてはならない。武備とは、分限相応の人馬、そのほか武用の道具を所持し、射・騎・剣・鎗の技術にも不案内でない程度に稽古することである。ただし、その道の師を務める者のほかは、あまり精を出して究めるのは無用である。不断に手慣れているようにせよ。軍法は常に会議があるべきである。ただし、軍中の法令は内々に定め置いたとおりである。平生から承知し、戦場に臨んで失念のないよう心得よ。

解説

この段は、士が武備を忘れてはならないという簡潔な命令です。名君が挙げる武備とは、分限相応の人馬と武用の道具を所持し、射・騎・剣・鎗の技術に不案内でない程度に稽古することで、その道の師を務める者のほかは、あまり究めすぎる必要はないとします。軍法は常に会議を開くべきで、軍中の法令は内々に定めたとおりだから、平生から承知して、戦場で失念しないようにせよとも命じます。要は、備えは過不足なく、日頃の手慣れとして持てという考えです。現代の組織に引き直せば、危機対応の手順や道具を平時に整え、普段から確認しておく姿勢にあたり、非常時に慌てない準備は上に立つ者の責任だと読めます。

この章句が説くこと

武備稽古軍法備え分限明君家訓

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