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甲陽軍鑑 / 品第十四

殊更强過ぎたる大將の作法は遠慮もせず、何事をもつよみと斗りあそばすに付、其下の諸侍遠慮もなく、少しのこぜりあひにも討死の人多し、右に申す百人の中にて上中下合せて、二十人の兵の皆死にうする子細は、數人の內より選び出されたる大剛の者共、遠慮せずつよみと心がくれば死ぬより外別事なし、縱へいきてもかたわになる深手をとひ、以來思ふ樣の手抦のならねば、なきとひとしきなり、

新字:殊更強過ぎたる大将の作法は遠慮もせず、何事をもつよみと斗りあそばすに付、其下の諸侍遠慮もなく、少しのこぜりあひにも討死の人多し、右に申す百人の中にて上中下合せて、二十人の兵の皆死にうする子細は、数人の内より選び出されたる大剛の者共、遠慮せずつよみと心がくれば死ぬより外別事なし、縦へいきてもかたわになる深手をとひ、以来思ふ様の手抦のならねば、なきとひとしきなり、

書き下し

殊更强過ぎたる大将の作法は遠慮もせず、何事をもつよみと斗りあそばすに付、其下の諸侍遠慮もなく、少しのこぜりあひにも討死の人多し、右に申す百人の中にて上中下合せて、二十人の兵の皆死にうする子細は、数人の内より選び出されたる大剛の者共、遠慮せずつよみと心がくれば死ぬより外別事なし、縦へいきてもかたわになる深手をとひ、以来思ふ様の手抦のならねば、なきとひとしきなり、

現代語訳

ことに強過ぎたる大将の作法は遠慮もせず、何事も強みとばかりなさるので、その下の諸侍も遠慮なく、少しの小競り合いにも討死の人が多い。右に申した百人の中の上中下合わせて二十人の兵が皆死に失せるわけは、多くの人の内から選び出された大剛の者どもが、遠慮せず強みと心がければ、死ぬより外に別の事はないからである。たとえ生きても片輪になる深手を負い、以後思うような手柄ができなければ、いないのと同じである。

解説

強過ぎる大将の下では、部下も遠慮を知らず、小競り合いでも命を捨てる。真っ先に死ぬのは選りすぐりの二十人であり、生き残っても深手で働けなければいないのと同じだという。トップの強気は、最も優秀な人から順に燃え尽きさせる。遠慮とは臆病ではなく、人材という元手を守る判断である。無理を美徳にする職場で、先に倒れるのは誰かを考えたい。部下の命と健康を守ることも、成果を上げ続けるための条件である。

この章句が説くこと

強み遠慮人材燃え尽き大将討死

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