甲陽軍鑑 / 品第十四
又大工をも不便にし給ひ、數百兩の金子を下され都へのぼせ、菊亭殿御肝煎をもつて此大工飛彈になされ候へば、飛彈定て諸侍に無禮をもいたすかと思へば、小人·中間衆迄にちんてうはいまうする、如此の人を召し遣ひ給ふにより、番匠小路は飛彈に承りてたつる、たくみ町銀町各町中も、地下も八田村春芳·珪琳それ〳〵に肝煎りゆへ、地下も細工人も繁昌して諸侍ことかく事なし、三畧ニ曰、四民用虛、國乃無儲、四民用足、國乃安樂とある儀にてもあらんか、
新字:又大工をも不便にし給ひ、数百両の金子を下され都へのぼせ、菊亭殿御肝煎をもつて此大工飛弾になされ候へば、飛弾定て諸侍に無礼をもいたすかと思へば、小人·中間衆迄にちんてうはいまうする、如此の人を召し遣ひ給ふにより、番匠小路は飛弾に承りてたつる、たくみ町銀町各町中も、地下も八田村春芳·珪琳それ〳〵に肝煎りゆへ、地下も細工人も繁昌して諸侍ことかく事なし、三略ニ曰、四民用虚、国乃無儲、四民用足、国乃安楽とある儀にてもあらんか、
書き下し
又大工をも不便にし給ひ、数百両の金子を下され都へのぼせ、菊亭殿御肝煎をもつて此大工飛弾になされ候へば、飛弾定て諸侍に無礼をもいたすかと思へば、小人·中間衆迄にちんてうはいまうする、如此の人を召し遣ひ給ふにより、番匠小路は飛弾に承りてたつる、たくみ町銀町各町中も、地下も八田村春芳·珪琳それ〳〵に肝煎りゆへ、地下も細工人も繁昌して諸侍ことかく事なし、三略ニ曰、四民用虚、国乃無儲、四民用足、国乃安楽とある儀にてもあらんか、
現代語訳
また大工をも目をかけられ、数百両の金子を下されて都へ上らせ、菊亭殿のお取り持ちでこの大工を飛騨(守)にされたので、飛騨はきっと諸侍に無礼をするかと思えば、小人・中間衆にまで丁寧に拝礼する。このような人を召し使われたので、番匠小路は飛騨が承って建て、たくみ町・銀町など各町中も、地下も八田村・春芳・珪琳がそれぞれに肝煎りをしたので、地下も細工人も繁昌して、諸侍が事欠くことはない。三略に「四民の用が虚しければ国に蓄えがなく、四民の用が足りれば国は安楽である」とあるのも、このような意味であろうか。
解説
この章句が説くこと
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