甲陽軍鑑 / 品第十三
何樣の者をも御扶持尤もの事一本間·井又七年御意にそむき罷り有り候者を、當年よりはや御懇に候へは、上杉家に人なきやうにて候間、十年とは存ずれども、せめて七八年も遠々しく被成尤の事、付扇谷と御無事にて御損多く候事と書き付て、すがの·上原兩人にて直に則政公へ上る則政公披見有り、北條家をいやしむ儀、其外なにもかも機に入りて長尾いげん入道をはじめ四五人のこと、少しも則政〓着なし、
新字:何様の者をも御扶持尤もの事一本間·井又七年御意にそむき罷り有り候者を、当年よりはや御懇に候へは、上杉家に人なきやうにて候間、十年とは存ずれども、せめて七八年も遠々しく被成尤の事、付扇谷と御無事にて御損多く候事と書き付て、すがの·上原両人にて直に則政公へ上る則政公披見有り、北条家をいやしむ儀、其外なにもかも機に入りて長尾いげん入道をはじめ四五人のこと、少しも則政〓着なし、
書き下し
何様の者をも御扶持尤もの事一本間·井又七年御意にそむき罷り有り候者を、当年よりはや御懇に候へは、上杉家に人なきやうにて候間、十年とは存ずれども、せめて七八年も遠々しく被成尤の事、付扇谷と御無事にて御損多く候事と書き付て、すがの·上原両人にて直に則政公へ上る則政公披見有り、北条家をいやしむ儀、其外なにもかも機に入りて長尾いげん入道をはじめ四五人のこと、少しも則政〓着なし、
現代語訳
一、本間・井又は七年御意に背いていた者なのに、当年からもう御懇ろになさるのでは、上杉家に人がいないようでございますから、十年とは申しませんが、せめて七八年も遠ざけておかれるのがもっともなこと。付けたり、扇谷と御無事にしておられるのは御損が多いこと。と書き付けて、すがの・上原の両人で直接則政公へ差し上げる。則政公は披見なさり、北条家をいやしむこと、そのほか何もかも気に入って、長尾いげん入道をはじめ四五人のことには、少しも則政は(底本ここ判読しがたい)着なし。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『甲陽軍鑑』品第十三其時則政大きに立腹し給ひ、本間·井又生害におよぶ所に漸にげのび、在地の体なり、家老衆わびこと申さるれ共、只はならず、彼の両人奉行衆内の者共に理はりを致したると申せば、両出頭衆の前へ如何がにて年月さつて四年の間閑居也、其内に北条家と取り合ひの境目にて、度々心操あれと更らに取り次ぐ人なし、
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『甲陽軍鑑』品第十三又北条家へ武略に行く両人、其内井又左近太夫酉の三月毒害にて死する、則政公仰せには我下の大身ども、北条家へ心もよせぬ者どもを偽を申かけたる罰にて、頓死仕たりと仰出され候間、諸人悉く井又左近をにくまぬ者はさのみなし、扨上杉家の能き家老一両人寄合管領家是ほどには木に成たりさて、忍て井又左近太夫が跡を吊てなけども更にかひそなき、然ば北条家氏康廿三歳にては扇谷の城河越〓をのつとる、そこにて行あたり、右にいやしみたる事は両年の間に忘すれ、
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『甲陽軍鑑』品第十三其きほひをもつて氏縄手に沼いれたる富士川の北悉く信虎に取らるゝ、此時かうこく寺の城主青池飛弾、人より先に信虎被官になるに付きて日浄青池むすこ与十郎と申す者を、信虎家中足軽大将の小幡入道にちぢやうと申す侍のむこに、信虎下知をもつて仕六合るた唯今は、駿河今川義元信虎婿になる故、息女の仮粧田として信虎より今川殿へわたす、これとても父宗雲が今川のかげをもつて小田原迄も発向する其恩を子息氏縄が代に成つて、忘て替り目を見合て今川の持を取つれ共氏縄義理違ひ申に付ておもしろふまはり、此所今川へ帰るは天道より北条家をにくむにて候、
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尚書・蔡仲之命乃の視聴を詳らかにし、側言を以て厥の度を改むる罔ければ、則ち予一人汝を嘉せん。」王曰く、「嗚呼(ああ)!小子胡よ、汝往けや。朕の命を荒棄すること無かれ。」
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『甲陽軍鑑』品第十二古語ニ曰、掬スレハ水ヲ月在手ニ弄スレバ花ヲ香満衣ニといふ心に、三略ニ曰、雖窮不処亡国之位、雖貧不食乱邦之禄といふ義理にて、立ち出つれども残りたる愚人は善悪をしらずして、出てたる跡にて其能き人を散々にあしう申者なり、されども作りこと成るにより愚人の能き人を誹ること五所にては五様と申す、口のちがうは必ず空言をいふてそねむと思召し候へ、
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『甲陽軍鑑』品第十三然れ共長尾いげん入道工夫を以て井又左近太夫·本間江州両人を北条家へたばかり奉公にさしこす、本間は其歳四十一、井又左近は卅九歳、此両人は父上杉公の代にも北条氏縄と取合ひのさかひ、平井より撿使に行き、十八·十九の歳より度々の手抦をあらはしたる者どもにて、父山内殿旗本·足軽大将の中に若手の覚への者なり、去りながら本間·井又·四年已来則政公御意に家督背く子細は、則政公かとくに右より鹿狩りを制しめて法度にし給ひ、両出頭のすがの大膳·上原兵庫奉行に仰せ付けられ候、然ば本間·井又両出頭衆と知行所近し、又すがの·上原内の者共奉行の被官なればとて、たれとがむる人もなきにより、法度をやぶつて鹿狩りをする本間·井又·すがの殿·上原殿が内衆に頼み、一ツになりて狩りをするめつけ衆·すがの·上原事はかくして本間·井又がことばかり言上する、
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