甲陽軍鑑 / 品第十二
それに付地下の分限者町人のごとき人共、諸奉行へ取入物をつかふて氣に入るか、又は女人などを引かけ奉行に能く思はれ、樹木の役·竹の年貢·鹽役布役を諸在々へあてられ然べしと藏法師·役者共に地下の福祐の者共告る、尤と悅び、やがて出頭人に云ふ、其大將の好むことなれば則時申上候、利根の過ぎたる大將邪慾深けれは不斜ナラに悅び給ひ、町人地下人の口を大將直に聞き給ひ、後は彼地下人共大きに出頭して家に舊功の諸侍をも踏付くれば、大事なくしぐみ、終に地下人·町人共に、知行を給はる、
新字:それに付地下の分限者町人のごとき人共、諸奉行へ取入物をつかふて気に入るか、又は女人などを引かけ奉行に能く思はれ、樹木の役·竹の年貢·塩役布役を諸在々へあてられ然べしと蔵法師·役者共に地下の福祐の者共告る、尤と悦び、やがて出頭人に云ふ、其大将の好むことなれば則時申上候、利根の過ぎたる大将邪慾深けれは不斜ナラに悦び給ひ、町人地下人の口を大将直に聞き給ひ、後は彼地下人共大きに出頭して家に旧功の諸侍をも踏付くれば、大事なくしぐみ、終に地下人·町人共に、知行を給はる、
書き下し
それに付地下の分限者町人のごとき人共、諸奉行へ取入物をつかふて気に入るか、又は女人などを引かけ奉行に能く思はれ、樹木の役·竹の年貢·塩役布役を諸在々へあてられ然べしと蔵法師·役者共に地下の福祐の者共告る、尤と悅び、やがて出頭人に云ふ、其大将の好むことなれば則時申上候、利根の過ぎたる大将邪慾深けれは不斜ナラに悅び給ひ、町人地下人の口を大将直に聞き給ひ、後は彼地下人共大きに出頭して家に旧功の諸侍をも踏付くれば、大事なくしぐみ、終に地下人·町人共に、知行を給はる、
現代語訳
それにつけて地下の分限者で町人のような人どもが、諸奉行へ取り入り、物を使って気に入られるか、または女人などを引き合わせて奉行に良く思われ、「樹木の役・竹の年貢・塩役・布役を諸在所に課されるのがよろしい」と、蔵法師・役者どもに、地下の裕福な者どもが告げる。もっともだと喜んで、やがて出頭人に言う。その大将の好むことなので、すぐに申し上げる。利根の過ぎた大将は邪欲が深いので、並々ならず喜ばれ、町人・地下人の言うことを大将が直に聞かれ、後にはその地下人どもが大いに出頭して、家の旧功の諸侍をも踏みつけるようになると、大事なく仕組み、ついには地下人・町人どもに知行を下される。
解説
この章句が説くこと
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