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講孟余話 / 盡心下 首章

章不仁哉、梁惠王也、首ノ一句、是全章ノ主意、是ヲ承ルニ、仁者不仁者ノ両股ヲ以テシ、其下公孫丑ノ問ニ因テ梁ノ惠王ノ不仁ナル訳ヲ云テ、不仁ノ一股ヲ釋ス、仁ノ一股ハ言外ニ蘊スルノミニテ敢テ発顕セス、然トモ其落着却テ不発顯ノ処ニアリ、惠王ノ事実ハ、梁惠王上篇第五章ヲ考フヘシ、又仁ノ訳モ同章ニ云フ所ヲ以テ知ルヘシ、施仁政、省刑罰、薄稅斂、入テ事、出テ事、ノ類是ナリ、

新字:章不仁哉、梁恵王也、首ノ一句、是全章ノ主意、是ヲ承ルニ、仁者不仁者ノ両股ヲ以テシ、其下公孫丑ノ問ニ因テ梁ノ恵王ノ不仁ナル訳ヲ云テ、不仁ノ一股ヲ釈ス、仁ノ一股ハ言外ニ蘊スルノミニテ敢テ発顕セス、然トモ其落着却テ不発顕ノ処ニアリ、恵王ノ事実ハ、梁恵王上篇第五章ヲ考フヘシ、又仁ノ訳モ同章ニ云フ所ヲ以テ知ルヘシ、施仁政、省刑罰、薄税斂、入テ事、出テ事、ノ類是ナリ、

書き下し

章 「不仁なるかな、梁の恵王や」。首の一句、是れ全章の主意なり。是れを承くるに、仁者・不仁者の両股を以てし、其の下公孫丑の問ひに因りて梁の恵王の不仁なる訳を云ひて、不仁の一股を釈す。仁の一股は言外に蘊するのみにて敢へて発顕せず。然れども其の落着却つて発顕せざる処にあり。恵王の事実は梁恵王上篇第五章を考ふべし。又仁の訳も同章に云ふ所を以て知るべし。「仁政を施し、刑罰を省き、税斂を薄くし」、入りて事へ、出でて事ふるの類是れなり。

現代語訳

「不仁なことだ、梁の恵王は」。冒頭のこの一句が、章全体の主意である。これを受けて、仁者と不仁者の二つの筋を立て、その下で公孫丑の問いによって梁の恵王が不仁であるわけを説き、不仁の筋を解き明かしている。仁の筋のほうは言外に含ませるだけで、あえて表に出していない。けれども、その結論はかえって表に出していないところにある。恵王の事実は、梁恵王上篇第五章を考えるとよい。また仁が何であるかも、同じ章に言うところで分かる。「仁政を施し、刑罰を減らし、税の取り立てを軽くし」、家に入っては父兄に仕え、外に出ては目上に仕える、といった類がそれである。

解説

盡心下篇は「不仁なるかな梁の恵王や」で始まります。恵王は領土欲のために民を戦場に追いやり、敗れるとさらに愛する子弟まで駆り立てた、と孟子は言います。松陰は、この章が不仁の側だけを語り、仁の側をあえて言わずにおくところに眼目があると読みます。仁とは何かは、梁恵王上篇第五章の「仁政を施し、刑罰を省き、税斂を薄くす」に答えがある、というのです。書かれていない部分に著者の結論を読み取る、松陰の読書の仕方がうかがえる冒頭の一節です。

この章句が説くこと

仁不仁梁恵王読書法言外

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