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講孟余話 / 公孫丑下 第六章

王驩ハ斉王ノ嬖臣ナリ、孟子ノ副使トナリ、朝暮必ズ見ユ、是ヲ以テ孟子ノ德望貴重想フベシ、是他ナシ孟子ノ仕ル道ノ爲ニシテ身ノ爲ニ非ズ、孟子斉王ニ求ル所ナクシテ、斉王孟子ニ求ル所アルニ由ルナリ、是等ノ所ニ於テ聖賢ノ地位ヲ知ルベシ、而テ聖賢ヲ学フ者ノ期スル所、亦茲ニアラズヤ

新字:王驩ハ斉王ノ嬖臣ナリ、孟子ノ副使トナリ、朝暮必ズ見ユ、是ヲ以テ孟子ノ徳望貴重想フベシ、是他ナシ孟子ノ仕ル道ノ為ニシテ身ノ為ニ非ズ、孟子斉王ニ求ル所ナクシテ、斉王孟子ニ求ル所アルニ由ルナリ、是等ノ所ニ於テ聖賢ノ地位ヲ知ルベシ、而テ聖賢ヲ学フ者ノ期スル所、亦茲ニアラズヤ

書き下し

王驩は斉王の嬖臣なり。孟子の副使となり、朝暮必ず見ゆ。是れを以て孟子の徳望貴重想ふべし。是れ他なし、孟子の仕ふる道の為にして身の為に非ず、孟子斉王に求むる所なくして、斉王孟子に求むる所あるに由るなり。是等の所に於て聖賢の地位を知るべし。而して聖賢を学ぶ者の期する所、亦茲にあらずや。

現代語訳

王驩は斉王のお気に入りの臣である。それが孟子の副使となり、朝夕必ず孟子にお目通りした。このことから、孟子の徳望がどれほど重んじられていたかが想像できる。これはほかでもない。孟子が仕えるのは道のためであって自分の身のためではなく、孟子は斉王に求めるものがないのに、斉王のほうが孟子に求めるものがあったからである。こうしたところで聖人賢人の立ち位置を知ることができる。そして聖賢を学ぶ者が目指すところも、ここにあるのではないか。

解説

孟子が斉の卿として滕へ弔問に出たとき、副使は王の寵臣王驩でしたが、孟子は往復の道中で一度も公務を語りませんでした。松陰はこの場面から、権力者のお気に入りでさえ朝夕孟子にまみえたことに注目し、その重みは孟子が王に何も求めていなかったことから来ると読みます。求める側はいつも弱く、求めない側はおのずと重んじられる。地位や見返りを求めずに道のために働く人が、結局もっとも信頼されるという見方は、今の人間関係にも通じます。

この章句が説くこと

無欲品格徳望出処孟子

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