講孟余話 / 公孫丑上 第五章
此章仁政ヲ論スルコト甚詳ナリ、大意天下ノ士商旅農民皆我国ヲ慕ヒ來ル如クスル事ナリ、五者ノ中尤モ要トスル所ハ又士ノ其朝ニ立ツコトヲ願フ如クスルニ在、故ニ此条ヲ以テ第一ニ置クナリ、政ニ任スル者胸ニ手ヲ措テ思惟スベシ
新字:此章仁政ヲ論スルコト甚詳ナリ、大意天下ノ士商旅農民皆我国ヲ慕ヒ来ル如クスル事ナリ、五者ノ中尤モ要トスル所ハ又士ノ其朝ニ立ツコトヲ願フ如クスルニ在、故ニ此条ヲ以テ第一ニ置クナリ、政ニ任スル者胸ニ手ヲ措テ思惟スベシ
書き下し
此の章仁政を論ずること甚だ詳かなり。大意、天下の士・商旅・農民皆我が国を慕ひ来る如くする事なり。五者の中尤も要とする所は、又士の其の朝に立つことを願ふ如くするに在り、故に此の条を以て第一に置くなり。政に任ずる者、胸に手を措きて思惟すべし。
現代語訳
この章は仁政をたいへん詳しく論じている。その大意は、天下の士人・商人・旅人・農民がみなわが国を慕ってやって来るようにすることである。五つの事柄のうちもっとも肝要なのは、また士人がその朝廷に仕えたいと願うようにすることにある。だからこの条を第一に置いているのである。政治を任された者は、胸に手を当ててよく考えるべきである。
解説
孟子はこの章で、賢者を尊び能力のある者を用いれば天下の士はその朝廷に仕えたがり、市場や関所の税を軽くすれば商人も旅人も集まり、農民は耕したがる、と五つの施策を挙げます。そうなれば天下に敵なし、というのが結論です。松陰は、その五つのうちでも、すぐれた人材がこの国で働きたいと思うようにすることが第一だと読みます。人が集まる組織をつくるには、まず志ある人が来たくなる場をつくることだ、という考えは、松下村塾を開いた人らしい着眼です。
この章句が説くこと
仁政人材登用政治孟子
関連する章句
-
尉繚子・武議良馬も策有れば、遠道致すべし。賢士も合有れば、大道明らかにすべし。
-
論語・泰伯篇舜に臣五人有りて、天下治まる。武王曰く、「予に乱臣十人有り。」孔子曰く、「『才難し』とは、其れ然らずや。唐虞の際、斯に於いて盛んなりと為す。婦人有り、九人のみ。天下を三分して其の二を有ち、以て殷に服事す。周の徳は、其れ至徳と謂う可きのみ。」
-
孫子・作戦篇其の戦を用うるや、勝つを貴ぶ。久しければ則ち兵を鈍らせ鋭を挫き、城を攻むれば則ち力屈し、久しく師を暴せば則ち国用足らず。
-
『韓非子』難二第三十七桓公曰く、「吾聞く、人に君たる者は人を索むるに労し、人を使うに佚すと。吾仲父を得ること已に難し。仲父を得るの後、何為れぞ易からざらんや。」
-
論語・雍也篇子游、武城の宰と為る。子曰く、「女、人を得たるか。」曰く、「澹台滅明なる者有り。行くに径に由らず。公事に非ざれば、未だ嘗て偃の室に至らざるなり。」
-
論語・衛霊公篇子曰く、君子は小知す可からずして、大受す可きなり。小人は大受す可からずして、小知す可きなり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る