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講孟余話 / 梁惠王下 第十一章

未聞以千里畏人者也ノ一語胸ヲ刺スカ如シ、皇國東蝦夷ニ起リ、西琉球ニ至ル、亦小トスヘカラズ、魯西亞・米利堅大ト雖トモ亦何ソ畏ルヽ足ン、况ヤ暎咭唎・拂郎察ノ小ヲヤ、若シ尙恐ルヽ所アラハ、内政教ヲ修メ、外強暴ヲ平グルコト湯ノ如クンバ天下誰カ敢テ吾ヲ忤視センヤ、今ハ則チ然ラズ、惴々焉トシテ奉承ノ至ラザランコトヲ恐ル、孟子ヲシテ我ガ今日ヲ目セシメハ、其レ何トカ云ン、在上ノ君子読テ此章ニ至ラハ亦何ノ面目カアル

新字:未聞以千里畏人者也ノ一語胸ヲ刺スカ如シ、皇国東蝦夷ニ起リ、西琉球ニ至ル、亦小トスヘカラズ、魯西亜・米利堅大ト雖トモ亦何ソ畏ルヽ足ン、況ヤ暎咭唎・払郎察ノ小ヲヤ、若シ尚恐ルヽ所アラハ、内政教ヲ修メ、外強暴ヲ平グルコト湯ノ如クンバ天下誰カ敢テ吾ヲ忤視センヤ、今ハ則チ然ラズ、惴々焉トシテ奉承ノ至ラザランコトヲ恐ル、孟子ヲシテ我ガ今日ヲ目セシメハ、其レ何トカ云ン、在上ノ君子読テ此章ニ至ラハ亦何ノ面目カアル

書き下し

未だ千里を以て人を畏るる者を聞かざるなりの一語、胸を刺すが如し。皇国は東蝦夷に起こり、西琉球に至る、亦小とすべからず。魯西亜・米利堅大なりと雖も、亦何ぞ畏るるに足らん、況んや英吉利・仏蘭西の小なるをや。若し尚恐るる所あらば、内に政教を修め、外に強暴を平ぐること湯の如くんば、天下誰か敢へて吾を忤視せんや。今は則ち然らず、惴々焉として奉承の至らざらんことを恐る。孟子をして我が今日を目せしめば、其れ何とか云はん。在上の君子、読みて此の章に至らば、亦何の面目かある。

現代語訳

「千里四方の国を持ちながら他人を恐れる者など聞いたことがない」という一言は、胸を刺すようである。わが国は東は蝦夷から西は琉球に至り、決して小さくない。ロシアやアメリカが大国であっても、どうして恐れるに足りよう。ましてイギリスやフランスのような小国ならなおさらである。もしまだ恐れるところがあるなら、内に政治と教化を整え、外に横暴な者を平らげること殷の湯王のようであれば、天下の誰がわが国を逆らう目で見ようか。今はそうではなく、びくびくと、相手の意に沿いきれないことを恐れている。孟子にわが国の今日を見させたら、何と言うだろうか。上に立つ人々がこの章まで読んだら、どんな顔をするのか。

解説

燕を取った斉に諸侯が攻め寄せようとしたとき、孟子が「千里の国を持ちながら人を恐れる者は聞いたことがない」と言い、殷の湯王は七十里から天下を得たと説いた章です。松陰はこの言葉を幕末の日本に重ねます。蝦夷から琉球まで広がる国が、なぜ欧米を恐れて機嫌をうかがうのか、内政を整えれば誰も侮らないはずだと、開国交渉に臨む幕府の姿勢を痛烈に批判します。相手の大きさに怯える前に、自分の内側を固めよという指摘は、交渉の場にも通じる心得です。

この章句が説くこと

自立外交内政黒船気概

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