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講孟余話 / 梁惠王下 第三章

此章大議論ナリ、畧其端緒ヲ論セン、隣國ニ交ル原ト是レ諸侯近隣諸国ト交ルノ道ヲ論ス、然トモ昆夷獯鬻ノ事ヲ引クヲ以テ、或ハ錯テ夷狄ヲ待ツノ道トシ、遂ニ夷狄ニ事ルヲ以テ仁智ノ事トセンコトヲ恐ル、是細論セスンハアルヘカラズ、凢ソ隣国ニ交ニハ親睦ヲ以テ主トス、故ニ力德義三ツノ者我ニ優レル者ニ在テハ、固ヨリ奉事スベシ、或ハ力ヲ恃ンテ強梁ナル者アリトモ、成丈ハ寬假シテ敢テ鋒ヲ爭ハサルベシ、若又小国ノ如キハ愛護シテ其他国ノ侵陵ヲ免レシムベシ、凢ソ夷狄ノ陵侮ヲ受ケ、生民ノ塗炭トナルハ、国内相爭フニ因ル、世道ニ志アル者、最モ意ヲ留ムヘキ事ナリ、

新字:此章大議論ナリ、略其端緒ヲ論セン、隣国ニ交ル原ト是レ諸侯近隣諸国ト交ルノ道ヲ論ス、然トモ昆夷獯鬻ノ事ヲ引クヲ以テ、或ハ錯テ夷狄ヲ待ツノ道トシ、遂ニ夷狄ニ事ルヲ以テ仁智ノ事トセンコトヲ恐ル、是細論セスンハアルヘカラズ、凢ソ隣国ニ交ニハ親睦ヲ以テ主トス、故ニ力徳義三ツノ者我ニ優レル者ニ在テハ、固ヨリ奉事スベシ、或ハ力ヲ恃ンテ強梁ナル者アリトモ、成丈ハ寛仮シテ敢テ鋒ヲ争ハサルベシ、若又小国ノ如キハ愛護シテ其他国ノ侵陵ヲ免レシムベシ、凢ソ夷狄ノ陵侮ヲ受ケ、生民ノ塗炭トナルハ、国内相争フニ因ル、世道ニ志アル者、最モ意ヲ留ムヘキ事ナリ、

書き下し

此の章大議論なり、略其の端緒を論ぜん。隣国に交はる、原と是れ諸侯近隣諸国と交はるの道を論ず。然れども昆夷・獯鬻の事を引くを以て、或は錯りて夷狄を待つの道とし、遂に夷狄に事ふるを以て仁智の事とせんことを恐る、是れ細論せずんばあるべからず。凡そ隣国に交はるには親睦を以て主とす。故に力徳義三つの者我に優れる者に在りては、固より奉事すべし。或は力を恃んで強梁なる者ありとも、成る丈は寛仮して敢へて鋒を争はざるべし。若し又小国の如きは愛護して其の他国の侵陵を免れしむべし。凡そ夷狄の陵侮を受け、生民の塗炭となるは、国内相争ふに因る。世道に志ある者、最も意を留むべき事なり。

現代語訳

この章は大きな議論であるが、その糸口をざっと論じよう。「隣国と交わる」とは、もともと諸侯が近隣の国々と交わる道を論じたものである。しかし昆夷や獯鬻といった異民族の話を引いているため、誤って異民族に対する道と受け取り、ついには異民族に仕えることを仁や智の行いとしてしまうのではないかと心配する。だからこれは細かく論じなければならない。およそ隣国と交わるには、親睦を主とする。だから力・徳・義の三つが自分より優れている相手には、もちろん仕えるべきである。力を頼んで横暴な相手がいても、できるだけ大目に見て、あえて争わないほうがよい。小国に対しては、いたわって他国の侵略から守ってやるべきである。およそ外国にあなどられ、民が苦しみに落ちるのは、国の内側で争うことが原因である。世の中に志ある者が、最も心を留めるべきことである。

解説

斉の宣王の「隣国と交わるに道はあるか」という問いに、孟子が、大国が小国に仕えるのは仁、小国が大国に仕えるのは智だと答えた章です。松陰は、ここで引かれる周の祖先が異民族に仕えた話を、外国に従ってよいという根拠に誤用することを警戒します。そのうえで、隣国との交わりは親睦を主とし、優れた相手には仕え、横暴な相手には寛容に、小国はかばえと整理します。そして外国にあなどられるのは国内の争いが原因だと見抜きます。内輪もめが外からの攻めを招くという指摘は、どの組織にも当てはまります。

この章句が説くこと

外交親睦内紛仁智隣国

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