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講孟余話 / 孟子序說

孟軻騶人也、游事斉宣王梁惠王、経書ヲ読ムノ第一義ハ、聖賢ニ阿ネラヌコト要ナリ、若少シニテモ阿ル所アレハ、道明ナラズ、学フトモ益ナクシ害アリ、孔孟生国ヲ離レテ、他国ニ事ヘ給フコト濟ムコトナリ、君ト父トハ其義一ナリ、我君ヲ愚ナリ昏ナリトシテ、生国ヲ去テ他ニ往キ、君ヲ求ルハ、我父ヲ頑愚トシテ家ヲ出テ隣家ノ翁ヲ父トスルニ斉シ、孔孟此義ヲ失ヒ給フコト、如何ニモ辨スヘキ樣ナシ、

新字:孟軻騶人也、游事斉宣王梁恵王、経書ヲ読ムノ第一義ハ、聖賢ニ阿ネラヌコト要ナリ、若少シニテモ阿ル所アレハ、道明ナラズ、学フトモ益ナクシ害アリ、孔孟生国ヲ離レテ、他国ニ事ヘ給フコト済ムコトナリ、君ト父トハ其義一ナリ、我君ヲ愚ナリ昏ナリトシテ、生国ヲ去テ他ニ往キ、君ヲ求ルハ、我父ヲ頑愚トシテ家ヲ出テ隣家ノ翁ヲ父トスルニ斉シ、孔孟此義ヲ失ヒ給フコト、如何ニモ弁スヘキ様ナシ、

書き下し

孟軻は騶の人なり、斉の宣王・梁の恵王に游事す。経書を読むの第一義は、聖賢に阿ねらぬこと要なり。若し少しにても阿る所あれば、道明らかならず、学ぶとも益なくして害あり。孔孟生国を離れて、他国に事へ給ふこと済まぬことなり。君と父とは其の義一なり。我が君を愚なり昏なりとして、生国を去りて他に往き、君を求むるは、我が父を頑愚として家を出でて隣家の翁を父とするに斉し。孔孟此の義を失ひ給ふこと、如何にも弁ずべき様なし。

現代語訳

孟軻(孟子)は騶の人で、斉の宣王や梁の恵王のもとに遊説して仕えた。経書を読むうえで第一に大切なのは、聖人や賢人におもねらないことである。少しでもおもねるところがあれば、道は明らかにならず、学んでも益がないどころか害になる。孔子や孟子が生まれた国を離れて、他国に仕えられたのは、許されないことである。君と父とは、その道理において一つである。自分の君を愚かだ、暗愚だとして生国を去り、よそへ行って別の君を求めるのは、自分の父を頑固で愚かだとして家を出て、隣家の老人を父とするのと同じである。孔子・孟子がこの道理を失われたことは、どうにも弁護のしようがない。

解説

講義の第一声で、松陰は孟子その人を批判します。経書を読む第一の心得は、聖賢におもねらないことだというのです。孔子も孟子も生国を離れて他国の君を求めましたが、松陰は、それは自分の父を見限って隣家の老人を父とするようなものだと言い切ります。尊敬する書であっても、そのまま受け入れず自分の頭で吟味するという読書の態度が、ここにはっきり示されています。権威ある言葉ほど鵜呑みにしない姿勢は、どんな学びにも通じる心得です。

この章句が説くこと

読書批判忠孝孔孟自立

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