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国語 / 呉語

吳王夫差既勝齊人於艾陵,乃使行人奚斯釋言於齊,曰:「寡人帥不腆吳國之役,遵汶之上,不敢左右,唯好之故。今大夫國子興其眾庶,以犯獵吳國之師徒,天若不知有罪,則何以使下國勝!」

新字:呉王夫差既勝斉人於艾陵,乃使行人奚斯釈言於斉,曰:「寡人帥不腆呉国之役,遵汶之上,不敢左右,唯好之故。今大夫国子興其衆庶,以犯猟呉国之師徒,天若不知有罪,則何以使下国勝!」

書き下し

呉王夫差既に斉人に艾陵に勝ち、乃ち行人奚斯(けいし)をして言を斉に釈(と)かしめて曰く、「寡人不腆(ふてん)の呉国の役を帥い、汶(ぶん)の上に遵(したが)い、敢えて左右せず、唯好(よしみ)の故なり。今大夫国子其の衆庶を興して、以て呉国の師徒を犯猟す。天若し罪有るを知らずんば、則ち何を以て下国をして勝たしめんや」と。

現代語訳

呉王夫差は艾陵で斉の軍に勝つと、使者の奚斯を斉にやって弁明させた。「わたくしは取るに足らない呉の国の兵を率いて汶水のほとりに沿って進みましたが、左右に踏み込んで荒らすようなことはいたしませんでした。ただ貴国との友好を思えばこそです。ところが大夫の国子(斉の卿、国書)が民衆を動員して、呉の軍勢に襲いかかってきたのです。天がもし斉の側に罪があると知らなかったなら、どうしてこの小国を勝たせたりいたしましょうか」

解説

艾陵の戦いで斉に大勝した直後、夫差が使者の奚斯を斉に送って言い分を述べさせた短い一章である。艾陵の戦いは『春秋左氏伝』哀公十一年に見え、呉は斉の大将国書(国子)らを討ち取った。ここでの言葉は典型的な外交辞令で、呉は汶水に沿って進んだだけで荒らしはしなかった、攻めかかってきたのは斉の国子のほうだ、天が呉を勝たせたのは斉に罪があった証拠だ、と勝利を天意に帰して正当化する。自らを「不腆」「下国」とへりくだりながら、実際には勝者の論理を相手に押しつけている。前の章で申胥が警告した越の脅威は、この勝利によって夫差の目からいっそう遠のいた。勝った側が「天がそう定めた」と言い出すとき、そこには反省の入り込む余地がなくなる。成功の理由を外に求めて自分を正当化する癖には、組織の長ほど気をつけるべきである。

この章句が説くこと

国語呉語外交天命勝利

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