国語 / 楚語上
司馬子期欲以妾為內子,訪之左史倚相,曰:「吾有妾而願,欲笄之,其可乎?」對曰:「昔先大夫子囊違王之命謚;子夕嗜芰,子木有羊饋而無芰薦。君子曰:違而道。穀陽豎愛子反之勞也,而獻飲焉,以斃於鄢;芋尹申亥從靈王之欲,以隕於乾谿。君子曰:從而逆。君子之行,欲其道也,故進退周旋,唯道是從。夫子木能違若敖之欲,以之道而去芰薦,吾子經營楚國,而欲薦芰以干之,其可乎?」子期乃止。
新字:司馬子期欲以妾為内子,訪之左史倚相,曰:「吾有妾而願,欲笄之,其可乎?」対曰:「昔先大夫子嚢違王之命謚;子夕嗜芰,子木有羊饋而無芰薦。君子曰:違而道。穀陽豎愛子反之労也,而献飲焉,以斃於鄢;芋尹申亥従霊王之欲,以隕於乾谿。君子曰:従而逆。君子之行,欲其道也,故進退周旋,唯道是従。夫子木能違若敖之欲,以之道而去芰薦,吾子経営楚国,而欲薦芰以干之,其可乎?」子期乃止。
書き下し
司馬子期(しばしき)妾を以て内子と為さんと欲し、之を左史倚相に訪(と)いて曰く、「吾に妾有りて願(すなお)なり、之を笄(けい)せんと欲す、其れ可ならんか」と。対えて曰く、「昔先大夫子囊は王の命諡に違い、子夕は芰を嗜むも、子木は羊饋有りて芰薦無し。君子曰く、違いて道あり、と。穀陽豎(こくようじゅ)子反の労を愛して、飲を献じ、以て鄢に斃れしむ。芋尹(ういん)申亥は霊王の欲に従いて、以て乾谿に隕(お)とす。君子曰く、従いて逆なり、と。君子の行いは、其の道を欲するなり。故に進退周旋、唯だ道に是れ従う。夫れ子木は能く若敖(じゃくごう)の欲に違い、之を以て道として芰薦を去る。吾子楚国を経営して、芰を薦めて以て之を干さんと欲す、其れ可ならんや」と。子期乃ち止む。
現代語訳
楚の司馬子期(平王の子、子西の弟)は、妾を正妻に直そうと思い、左史倚相に相談して言った。「わたしには妾がいて、誠実な女だ。これに正妻の笄を挿させようと思うが、よいだろうか。」倚相は答えた。「昔、先の大夫子囊は、王が自ら命じた諡に背きました。子夕(屈到)は菱の実を好みましたが、子木(屈建)は大夫にふさわしい羊の供えだけにして、菱の実を供えませんでした。君子はこれを『背いて道にかなう』と評しました。穀陽豎(子反の小姓)は主人の子反の疲れをいたわって酒を差し出し、そのために子反は鄢陵の戦いの後に命を落としました。芋尹の申亥は霊王の望みに従って、王を乾谿で死なせました。君子はこれを『従って道に逆らう』と評しました。君子の行いは、ただ道にかなうことを求めるものです。だから進むも退くも、ふるまいのすべてを、ただ道に従うのです。子木は父の子夕の望みに背いてまで、道にかなうことを選んで菱の実の供えを取りやめました。あなたは楚の国を切り盛りする立場にありながら、菱の実を供えるように私情で礼を犯そうとなさる。それでよいでしょうか。」子期はそこで思いとどまった。
解説
この章句が説くこと
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