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素書 / 『素書』道徳仁義礼は一体

夫道、德、仁、義、禮、五者一體也。道者、人之所蹈、使萬物不知其所由;德者、人之所得、使萬物各得其所欲;仁者、人之所親、有慈惠惻隱之心、以遂其生成;義者、人之所宜、賞善罰惡、以立功立事;禮者、人之所履、夙興夜寐、以成人倫之序。夫欲為人之本、不可無一焉。

新字:夫道、徳、仁、義、礼、五者一体也。道者、人之所蹈、使万物不知其所由;徳者、人之所得、使万物各得其所欲;仁者、人之所親、有慈恵惻隠之心、以遂其生成;義者、人之所宜、賞善罰悪、以立功立事;礼者、人之所履、夙興夜寐、以成人倫之序。夫欲為人之本、不可無一焉。

書き下し

夫れ道、徳、仁、義、礼、五つの者は一体なり。道とは、人の蹈む所にして、万物をして其の由る所を知らざらしむ。徳とは、人の得る所にして、万物をして各おの其の欲する所を得しむ。仁とは、人の親しむ所にして、慈恵惻隠の心有りて、以て其の生成を遂げしむ。義とは、人の宜しとする所にして、善を賞し悪を罰し、以て功を立て事を立つ。礼とは、人の履む所にして、夙に興き夜に寝ね、以て人倫の序を成す。夫れ人の本を為さんと欲せば、一も無かる可からず。

現代語訳

道、徳、仁、義、礼の五つは、ひとつにつながったものです。道とは、人が踏み行うものであり、万物にその拠りどころを意識させません。徳とは、人が身につけるものであり、万物がそれぞれ望むところを得られるようにします。仁とは、人が親しみを寄せるものであり、慈しみと思いやりの心で、物事が育ち成るのを助けます。義とは、人がふさわしいとするものであり、善を賞し悪を罰して、功績を立て、仕事を成し遂げさせます。礼とは、人が実践するものであり、朝早く起き夜遅く休んで、人と人との秩序を形づくります。人の根本になろうとするなら、この五つのどれが欠けてもなりません。

解説

『素書』の冒頭で、道・徳・仁・義・礼を別々の徳目ではなく一つの束として示します。黄石公の作と伝わり、『史記』留侯世家では張良に兵書を授けた老人として登場しますが、現行本の真偽は定まっていません。ここでは、道が万物を目立たず支え、徳が各自の望みを満たし、仁が育て、義が賞罰で仕事を成し、礼が秩序をつくる、と働きの違いが並びます。組織に置き換えると、理念、報い、思いやり、評価の公正さ、日々の作法は、どれかだけでは機能しないということです。一つ欠けても土台は傾きます。
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この章句が説くこと

道徳仁義礼一体

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