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国語 / 鄭語

「夫成天地之大功者,其子孫未嘗不章,虞、夏、商、周是也。虞幕能聽協風,以成樂物生者也。夏禹能單平水土,以品處庶類者也。商契能和合五教,以保于百姓者也。周棄能播殖百穀蔬,以衣食民人者也。其後皆為王公侯伯。祝融亦能昭顯天地之光明,以生柔嘉材者也,其後八姓於周未有侯伯。佐制物於前代者,昆吾為夏伯矣,大彭、豕韋為商伯矣。當周未有。己姓昆吾、蘇、顧、溫、董,董姓鬷夷、豢龍,則夏滅之矣。彭姓彭祖、豕韋、諸稽,則商滅之矣,禿姓舟人,則周滅之矣。妘姓鄔、鄶、路、偪陽,曹姓鄒、莒,皆為采衛,或在王室,或在夷、狄,莫之數也。而又無令聞,必不興矣。斟姓無後。融之興者,其在羋姓乎?羋姓夔越不足命也。蠻羋蠻矣,唯荊實有昭德,若周衰,其必興矣。姜、嬴、荊、羋,實與諸姬代相干也。姜,伯夷之後也,嬴,伯翳之後也。伯夷能禮於神以佐堯者也,伯翳能議百物以佐舜者也。其後皆不失祀而未有興者,周衰其將至矣。」

新字:「夫成天地之大功者,其子孫未嘗不章,虞、夏、商、周是也。虞幕能聴協風,以成楽物生者也。夏禹能単平水土,以品処庶類者也。商契能和合五教,以保于百姓者也。周棄能播殖百穀蔬,以衣食民人者也。其後皆為王公侯伯。祝融亦能昭顕天地之光明,以生柔嘉材者也,其後八姓於周未有侯伯。佐制物於前代者,昆吾為夏伯矣,大彭、豕韋為商伯矣。当周未有。己姓昆吾、蘇、顧、温、董,董姓鬷夷、豢竜,則夏滅之矣。彭姓彭祖、豕韋、諸稽,則商滅之矣,禿姓舟人,則周滅之矣。妘姓鄔、鄶、路、偪陽,曹姓鄒、莒,皆為采衛,或在王室,或在夷、狄,莫之数也。而又無令聞,必不興矣。斟姓無後。融之興者,其在羋姓乎?羋姓夔越不足命也。蠻羋蠻矣,唯荊実有昭徳,若周衰,其必興矣。姜、嬴、荊、羋,実与諸姫代相干也。姜,伯夷之後也,嬴,伯翳之後也。伯夷能礼於神以佐堯者也,伯翳能議百物以佐舜者也。其後皆不失祀而未有興者,周衰其将至矣。」

書き下し

「夫れ天地の大功を成す者は、其の子孫未だ嘗て章(あら)われずんばあらず。虞・夏・商・周是れなり。虞幕(ぐばく)は能く協風を聴き、以て物を楽しみ生ぜしむるを成す者なり。夏禹は能く単(ことごと)く水土を平らげ、以て庶類を品処する者なり。商の契(せつ)は能く五教を和合し、以て百姓を保んずる者なり。周の棄(き)は能く百穀蔬を播殖し、以て民人を衣食せしむる者なり。其の後皆王公侯伯と為る。祝融も亦能く天地の光明を昭顕し、以て柔嘉の材を生ずる者なり。其の後八姓、周に於て未だ侯伯有らず。制物を前代に佐くる者は、昆吾(こんご)は夏の伯と為り、大彭・豕韋(しい)は商の伯と為る。周に当たりては未だ有らず。己姓の昆吾・蘇・顧・温・董、董姓の鬷夷(そうい)・豢龍(かんりょう)は、則ち夏之を滅ぼせり。彭姓の彭祖・豕韋・諸稽は、則ち商之を滅ぼせり。禿姓の舟人は、則ち周之を滅ぼせり。妘姓(うんせい)の鄔・鄶・路・偪陽(ふくよう)、曹姓の鄒・莒は、皆采衛と為り、或いは王室に在り、或いは夷・狄に在りて、之を数うる莫し。而も又令聞無し、必ず興らざらん。斟姓は後無し。融の興る者は、其れ羋姓(びせい)に在るか。羋姓の夔越(きえつ)は命ずるに足らず。蛮羋は蛮なり。唯だ荊のみ実に昭徳有り、若し周衰えなば、其れ必ず興らん。姜・嬴(えい)・荊・羋は、実に諸姫と代わる代わる相干(おか)さん。姜は伯夷の後なり、嬴は伯翳(はくえい)の後なり。伯夷は能く神に礼して以て堯を佐くる者なり。伯翳は能く百物を議して以て舜を佐くる者なり。其の後皆祀を失わずして未だ興る者有らず。周衰えなば其れ将に至らんとす」と。

現代語訳

(史伯はさらに続けた。)「天地のために大きな功を成し遂げた者は、その子孫がいつか必ず世に顕れるものです。虞・夏・商(殷)・周がそうです。虞幕(舜の祖先)は和らいだ風の訪れを聞き分け、季節に従って万物を楽しく生い育たせました。夏の禹は水と土をことごとく治め、あらゆる生き物をそれぞれふさわしい所に落ち着かせました。商の契は五つの教え(父子・君臣・夫婦・長幼・朋友の道)を和らげ整え、民を安んじました。周の棄(后稷)は百穀や野菜を植えて殖やし、民に衣食を行き渡らせました。その子孫はみな王や公侯伯となりました。祝融もまた天地の光明を明らかにし、柔らかでよい作物を生み出させた者ですが、その子孫の八つの姓は、周の世にはまだ侯伯となった者がありません。前の時代に物事の制度を助けた者としては、昆吾が夏の伯(諸侯の長)となり、大彭と豕韋が商の伯となりましたが、周ではまだ一人もいません。己姓の昆吾・蘇・顧・温・董、董姓の鬷夷・豢龍は夏に滅ぼされ、彭姓の彭祖・豕韋・諸稽は商に滅ぼされ、禿姓の舟人は周に滅ぼされました。妘姓の鄔・鄶・路・偪陽、曹姓の鄒・莒は、みな王畿の外の小さな附庸となり、王室のそばにいる者もあれば夷狄の間にいる者もあって、数えるにも足りません。そのうえよい評判もないので、決して興らないでしょう。斟姓には跡継ぎがありません。祝融の子孫で興るものがあるとすれば、それは羋姓でしょうか。羋姓のうち夔越は取り上げるに足らず、蛮羋は蛮人になってしまいました。ただ荊(楚)だけがまことに明らかな徳を持っており、周が衰えれば必ず興るでしょう。姜・嬴・荊・羋の諸姓は、まさに姫姓の諸国と入れ替わりに勢力を争うことになります。姜姓は伯夷の子孫、嬴姓は伯翳の子孫です。伯夷は神々に礼を尽くして堯を助け、伯翳は万物を論じ治めて舜を助けました。その子孫はみな祭祀を絶やさずにきましたが、まだ興った者はありません。周が衰えれば、その時がやって来るでしょう。」

解説

鄭の桓公と史伯の問答の第二場面で、なぜ楚が興るのかを、祝融の子孫の系譜から論じる部分である。史伯はまず、天地に大きな功を立てた者の子孫は必ず顕れるという原理を立て、舜・禹・契・后稷の家がそれぞれ王朝を開いた例を挙げる。祝融も同じく大功ある祖だが、その八姓は夏・商・周に次々と滅ぼされるか、小国に沈むかしており、残るのは羋姓の荊だけだと絞り込む。さらに姜姓(伯夷の後)と嬴姓(伯翳の後)も、周が衰えれば姫姓の国々に代わって興ると見通す。韋昭は虞幕を舜の後裔の虞思と注する。のちの春秋時代、楚・斉・秦が覇を争う大国となったことを思えば、この系譜論は鋭い予言として読まれてきた。功績は時を隔てて実を結ぶこと、そして同じ祖を持っても徳を失った家は沈むことを、組織の継承の問題として考えさせる。

この章句が説くこと

国語鄭語祝融徳興亡

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