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国語 / 晋語九

趙簡子歎曰:「雀入于海為蛤,雉入于淮為蜃。黿鼉魚鱉,莫不能化,唯人不能。哀夫!」竇犨侍,曰:「臣聞之:君子哀無人,不哀無賄;哀無德,不哀無寵;哀名之不令,不哀年之不登。夫范、中行氏不恤庶難,欲擅晉國,今其子孫將耕於齊,宗廟之犧為畎畝之勤,人之化也,何日之有!」

新字:趙簡子嘆曰:「雀入于海為蛤,雉入于淮為蜃。黿鼉魚鱉,莫不能化,唯人不能。哀夫!」竇犨侍,曰:「臣聞之:君子哀無人,不哀無賄;哀無徳,不哀無寵;哀名之不令,不哀年之不登。夫范、中行氏不恤庶難,欲擅晋国,今其子孫将耕於斉,宗廟之犠為畎畝之勤,人之化也,何日之有!」

書き下し

趙簡子歎じて曰く、「雀は海に入りて蛤(こう)と為り、雉は淮(わい)に入りて蜃(しん)と為る。黿鼉魚鼈(げんだぎょべつ)、化する能わざるは莫し。唯だ人のみ能わず。哀しいかな」と。竇犨(とうしゅう)侍して曰く、「臣之を聞く、君子は人無きを哀しみて、賄無きを哀しまず。徳無きを哀しみて、寵無きを哀しまず。名の令(よ)からざるを哀しみて、年の登(たか)からざるを哀しまず、と。夫れ范・中行氏は庶難を恤(うれ)えず、晋国を擅(ほしいまま)にせんと欲す。今其の子孫将に斉に耕さんとす。宗廟の犠(ぎ)、畎畝(けんぽ)の勤めと為る。人の化するや、何れの日か之れ有らん」と。

現代語訳

趙簡子が嘆いて言った。「雀は海に入ると蛤になり、雉は淮水に入ると大蛤になるという。大亀やわに、魚やすっぽんも、みな姿を変えることができる。ただ人だけが変わることができない。悲しいことだ。」そばに控えていた竇犨(晋の大夫)が言った。「私はこう聞いております。君子は賢い人がいないことを悲しみ、財貨がないことは悲しまない。徳がないことを悲しみ、寵愛がないことは悲しまない。名声がよくないことを悲しみ、年が長くないことは悲しまない、と。あの范氏と中行氏は、多くの人々の苦難を顧みず、晋の国をほしいままにしようとしました。今ではその子孫が斉の国で田を耕そうとしています。宗廟に捧げられる純色の犠牲の牛が、畑を耕す牛に変わったようなものです。人が変わるのに、どれほどの日がかかりましょうか。」

解説

趙簡子が、鳥や魚は姿を変えられるのに人だけは変われないと嘆いたのに対し、竇犨が「人の化」はすぐ目の前にあると答えた章である。雀が蛤に、雉が蜃になるという言い伝えは古い暦の記事にも見えるもので、簡子はそれを引いて人の変われなさを嘆いた。竇犨はまず、君子が悲しむべきは人・徳・名の欠如であって、財や寵や寿命ではないと言い、話を嘆きの向きから正す。そのうえで、晋を思うままにしようとした范氏・中行氏の子孫が、今は斉で農夫になろうとしていると指摘する。韋昭は、宗廟の祭主となるべき名族の後が畑に放たれたのを、犠牲の牛が耕牛になったたとえと解する。人は変われないのではなく、行いしだいで一代のうちに尊卑が入れ替わる。簡子の感傷を、自戒の材料に変えてみせた応答である。

この章句が説くこと

国語晋語徳変化興亡

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