国語 / 晋語九
趙簡子曰:「魯孟獻子有鬥臣五人。我無一,何也?」叔向曰:「子不欲也。若欲之,肸也待交捽可也。」
新字:趙簡子曰:「魯孟献子有鬥臣五人。我無一,何也?」叔向曰:「子不欲也。若欲之,肸也待交捽可也。」
書き下し
趙簡子(ちょうかんし)曰く、「魯の孟献子(もうけんし)は闘臣五人有り。我は一も無し。何ぞや」と。叔向曰く、「子欲せざるなり。若し之を欲せば、肸(きつ)や交捽(こうそつ)を待ちて可なり」と。
現代語訳
趙簡子(晋の卿、趙鞅)が言った。「魯の孟献子(魯の大夫、仲孫蔑)には、身を挺して難を防ぐ勇猛な臣が五人もいたという。私には一人もいない。なぜだろうか。」叔向は言った。「あなたが本気で求めていないからです。もし本当に求めるなら、この肸でさえ組み打ちの相手を務めてみせましょう。」
解説
晋の趙簡子が、魯の孟献子には勇猛な臣が五人いたのに自分には一人もいないと嘆いたのに対し、叔向が短く答えた章である。韋昭は「闘臣」を難を防ぐ士と解し、叔向の言葉の意を、勇を欲すれば勇士はおのずから至るとする。叔向は文官として知られる人物であるが、その自分でさえ、主が本気で求めるなら組み打ちも辞さないと言ってみせる。人材がいないのは世に人がいないからではなく、上に立つ者が本当に求めていないからだ、という指摘である。求める姿勢が示されれば、周囲の者の中にある力も引き出される。人がいない、育たないと嘆く前に、自分はどんな人を、どれほど本気で求めているかを示してきたかを省みさせる。わずか一問一答であるが、人材論の要をついた章である。
この章句が説くこと
国語晋語人材勇叔向
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