国語 / 晋語九
士景伯如楚,叔魚為贊理。邢侯與雍子爭田,雍子納其女於叔魚以求直。及斷獄之日,叔魚抑邢侯,邢侯殺叔魚與雍子於朝。韓宣子患之,叔向曰:「三姦同罪,請殺其生者而戮其死者。」宣子曰:「若何?」對曰:「鮒也鬻獄,雍子賈之以其子,邢侯非其官也而干之。夫以回鬻國之中,與絕親以買直,與非司寇而擅殺,其罪一也。」邢侯聞之,逃。遂施邢侯氏,而尸叔魚與雍子於市。
新字:士景伯如楚,叔魚為賛理。邢侯与雍子争田,雍子納其女於叔魚以求直。及断獄之日,叔魚抑邢侯,邢侯殺叔魚与雍子於朝。韓宣子患之,叔向曰:「三姦同罪,請殺其生者而戮其死者。」宣子曰:「若何?」対曰:「鮒也鬻獄,雍子賈之以其子,邢侯非其官也而干之。夫以回鬻国之中,与絶親以買直,与非司寇而擅殺,其罪一也。」邢侯聞之,逃。遂施邢侯氏,而尸叔魚与雍子於市。
書き下し
士景伯(しけいはく)楚に如(ゆ)く。叔魚(しゅくぎょ)贊理(さんり)たり。邢侯(けいこう)と雍子(ようし)と田を争う。雍子其の女を叔魚に納れて以て直を求む。獄を断ずるの日に及び、叔魚邢侯を抑(ま)ぐ。邢侯叔魚と雍子とを朝に殺す。韓宣子之を患う。叔向曰く、「三姦罪を同じうす。請う、其の生ける者を殺して其の死せる者を戮(りく)せん」と。宣子曰く、「若何(いかん)」と。対えて曰く、「鮒(ふ)や獄を鬻(ひさ)ぎ、雍子之を賈(か)うに其の子を以てし、邢侯其の官に非ずして之を干(おか)す。夫れ回(よこしま)を以て国の中を鬻ぐと、親を絶ちて以て直を買うと、司寇に非ずして擅(ほしいまま)に殺すと、其の罪一なり」と。邢侯之を聞きて逃る。遂に邢侯氏を施(とら)え、叔魚と雍子とを市に尸(さら)す。
現代語訳
晋の法官である士景伯(士彌牟)が楚へ使いに出たため、叔魚(叔向の弟、羊舌鮒)が代わって裁判を預かった。邢侯(楚から亡命した巫臣の子)と雍子(楚から亡命した大夫)とが田地の境界を争い、雍子は自分の娘を叔魚に差し出して、有利な判決を求めた。判決の日になると、叔魚は邢侯を不当に負けさせた。邢侯は怒って、叔魚と雍子を朝廷で殺してしまった。韓宣子(晋の正卿)がこの始末に頭を痛めていると、叔向が言った。「三人の悪人は同じ罪です。生きている者は死刑にし、死んだ者は屍をさらしてください。」宣子が「どういうことか」と問うと、叔向は答えた。「鮒は裁判を売り、雍子は娘を差し出してそれを買い、邢侯は裁く官でもないのに勝手に手を下しました。邪な心で国の公平を売ること、肉親の情を断ち切ってまで有利な判決を買うこと、司寇(刑罰をつかさどる官)でもないのに勝手に人を殺すこと、その罪はどれも同じです。」邢侯はこれを聞いて逃げた。そこで邢侯の一族を捕らえ、叔魚と雍子の屍を市場にさらした。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『韓非子』飭令第五十三令を飭ふれば則ち法遷らず、法平らかなれば則ち吏に姦無し。法已に定まれば、善言を以て法を害せず。
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『韓非子』備內第十七徭役多ければ則ち民苦しむ。民苦しめば則ち権勢起こる。権勢起これば則ち復除重し。復除重ければ則ち貴人富む。民を苦しめて以て貴人を富まし、勢を起こして以て人臣に藉すは、天下の長利に非ざるなり。故に曰く、徭役少なければ則ち民安し。民安ければ則ち下に重権無し。下に重権無ければ則ち権勢滅ぶ。権勢滅べば則ち徳上に在りと。今夫れ水の火に勝つこと亦明らかなり。然れども釜鬵之を間てれば、水其の上に煎沸して竭尽し、而して火は熾盛にして其の下を焚くことを得。水其の勝つ所以の者を失ふ。今夫れ治の姦を禁ずること又此れよりも明らかなり。然れども法を守るの臣、釜鬵の行ひを為せば、則ち法独り胸中に明らかにして、已に其の姦を禁ずる所以の者を失ふ。上古の伝言、春秋の記す所、法を犯し逆を為して以て大姦を成す者は、未だ嘗て尊貴の臣よりせずんばあらざるなり。然れども法令の備ふる所以、刑罰の誅する所以は、常に卑賤に於てす。是を以て其の民絶望して、告愬する所無し。
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尉繚子・將理夫れ能く一人に私無し、故に万物至りて之を制し、万物至りて之に命ず。君子は囚を五歩の外に救はず、鉤矢之を射ると雖も、追はざるなり。故に善く囚の情を審らかにすれば、箠楚(すいそ)を待たずして、囚の情畢(つ)くすべし。人の背を笞(むち)うち、人の脇を灼き、人の指を束ねて、囚の情を訊すれば、国士と雖も其の酷に勝へずして、自ら誣(し)ふる有らん。今世の諺に云ふ、「千金は死せず、百金は刑せられず」と。試みに臣の言を聴き、臣の術を行はば、堯・舜の智有りと雖も、一言を関(あづか)る能はず。万金有りと雖も、一銖を用ふる能はず。今夫れ獄を決するに、小圄は十数を下らず、中圄は百数を下らず、大圄は千数を下らず。十人は百人の事に聯(つら)なり、百人は千人の事に聯なり、千人は万人の事に聯なる。聯なる所の者は、親戚兄弟なり、其の次は婚姻なり、其の次は知識故人なり。是れ農は田業を離れざる無く、賈は肆宅を離れざる無く、士大夫は官府を離れざる無し。此くの如く良民を関聯するは、皆囚の情なり。兵法に曰く、「十万の師出づれば、日に千金を費やす」と。今良民十万にして、囹圄に聯なるも、上省みる能はず、臣以為へらく危しと。
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『墨子』法儀然らば則ち奚を以て治法を為して可ならんか。故に曰く、天に法るに若くは莫し、と。天の行いは廣くして私無く、其の施しは厚くして徳とせず、其の明るきは久しくして衰えず。故に聖王は之に法る。既に天を以て法と為さば、動作有為には、必ず天に度り、天の欲する所は則ち之を為し、天の欲せざる所は則ち止む。
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