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国語 / 晋語八

秦后子來仕,其車千乘。楚公子干來仕,其車五乘。叔向為太傅,實賦祿,韓宣子問二公子之祿焉,對曰:「大國之卿,一旅之田,上大夫,一卒之田。夫二公子者,上大夫也,皆一卒可也。」宣子曰:「秦公子富,若之何其鈞之?」對曰:「夫爵以建事,祿以食爵,德以賦之,功庸以稱之,若之何以富賦祿也!夫絳之富商,韋藩木楗以過於朝,唯其功庸少也,而能金玉其車,文錯其服,能行諸侯之賄,而無尋尺之祿,無大績於民故也。且秦、楚匹也,若之何其回於富也。」乃均其祿。

新字:秦后子来仕,其車千乗。楚公子干来仕,其車五乗。叔向為太傅,実賦禄,韓宣子問二公子之禄焉,対曰:「大国之卿,一旅之田,上大夫,一卒之田。夫二公子者,上大夫也,皆一卒可也。」宣子曰:「秦公子富,若之何其鈞之?」対曰:「夫爵以建事,禄以食爵,徳以賦之,功庸以称之,若之何以富賦禄也!夫絳之富商,韋藩木楗以過於朝,唯其功庸少也,而能金玉其車,文錯其服,能行諸侯之賄,而無尋尺之禄,無大績於民故也。且秦、楚匹也,若之何其回於富也。」乃均其禄。

書き下し

秦の后子来たり仕う。其の車千乗。楚の公子干(かん)来たり仕う。其の車五乗。叔向太傅為り、実に禄を賦す。韓宣子(かんせんし)二公子の禄を焉に問う。対えて曰く、「大国の卿は、一旅の田。上大夫は、一卒の田。夫れ二公子は、上大夫なり。皆一卒にして可なり」と。宣子曰く、「秦の公子は富む。之を若何ぞ其れ之を鈞(ひと)しくする」と。対えて曰く、「夫れ爵は以て事を建て、禄は以て爵を食ましめ、徳は以て之を賦し、功庸は以て之を称(はか)る。之を若何ぞ富を以て禄を賦せん。夫れ絳(こう)の富商は、韋藩木楗(いはんぼくけん)にして以て朝を過ぐ。唯其の功庸少なければなり。而るに能く其の車を金玉にし、其の服を文錯(ぶんさく)にし、能く諸侯の賄(まいない)を行うも、尋尺の禄無きは、民に大績無きが故なり。且つ秦・楚は匹(ひつ)なり。之を若何ぞ其れ富に回(まど)わん」と。乃ち其の禄を均しくす。

現代語訳

秦の后子(鍼)が晋に来て仕えた。その車は千両あった。楚の公子干(子干)も晋に来て仕えた。その車は五両であった。叔向は太傅として、実際に禄の割り当てをつかさどっていた。韓宣子(韓起、晋の正卿)が二人の公子の禄について叔向に尋ねると、叔向は答えた。「大国の卿には一旅(兵五百人)を出す分の田、上大夫には一卒(兵百人)を出す分の田を与えます。二人の公子は上大夫ですから、どちらも一卒分でよろしいでしょう。」韓宣子は言った。「秦の公子は富んでいる。どうして同じにできようか。」叔向は答えた。「そもそも爵位は職務を立てるためのもの、禄は爵位に応じて食ませるためのもので、徳によって割り当て、功績によって量るものです。どうして富によって禄を割り当てられましょう。この絳の都の富商たちは、なめし皮で囲い木の閂をつけただけの粗末な車で朝廷の前を通ります。それは国に対する功績が少ないからです。彼らは車を金や玉で飾り、衣服に美しい模様を施し、諸侯に贈り物をすることもできるのに、わずかな禄もないのは、民に対して大きな功績がないからです。そのうえ秦と楚は同格の大国です。どうして富に惑わされて差をつけられましょう。」こうして二人の禄を同じにした。

解説

前541年、秦の后子鍼が車千乗を率い、楚の公子干がわずか車五乗で、相次いで晋に亡命して仕えたとき、禄の割り当てをめぐる叔向の判断を記した章である。正卿の韓宣子は、秦の公子は富んでいるのに同じ禄でよいのかと問う。叔向は、爵は職務を立てるもの、禄は爵に応じて与えるもので、徳によって割り当て功績によって量る、富で禄を決めることはできないと答えた。絳の富商に禄がないのも民への功がないからだという。さらに秦と楚は同格の大国であり、その公子に差をつける理由はないとして、二人の禄を等しくした。『春秋左氏伝』昭公元年にも、叔向が二人の禄を等しくした話が見える。待遇を決めるとき、相手がすでに持っている財力や見た目の勢いに引きずられず、役割と貢献という物差しを貫くことの大切さを示している。

この章句が説くこと

国語晋語禄功公平

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