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国語 / 晋語八

平公射鴳,不死,使豎襄搏之,失。公怒,拘將殺之。叔向聞之,夕,君告之。叔向曰:「君必殺之。昔吾先君唐叔射兕于徒林,殪,以為大甲,以封于晉。今君嗣吾先君唐叔,射鴳不死,搏之不得,是揚吾君之恥者也。君其必速殺之,勿令遠聞。」君忸怩,乃趣赦之。

新字:平公射鴳,不死,使豎襄搏之,失。公怒,拘将殺之。叔向聞之,夕,君告之。叔向曰:「君必殺之。昔吾先君唐叔射兕于徒林,殪,以為大甲,以封于晋。今君嗣吾先君唐叔,射鴳不死,搏之不得,是揚吾君之恥者也。君其必速殺之,勿令遠聞。」君忸怩,乃趣赦之。

書き下し

平公鴳(あん)を射て、死せず。豎襄(じゅじょう)をして之を搏(う)たしむるに、失う。公怒り、拘(とら)えて将に之を殺さんとす。叔向之を聞き、夕(せき)す。君之を告ぐ。叔向曰く、「君必ず之を殺せ。昔吾が先君唐叔(とうしゅく)兕(じ)を徒林(とりん)に射て、殪(たお)し、以て大甲を為(つく)り、以て晋に封ぜらる。今君吾が先君唐叔を嗣ぎ、鴳を射て死せず、之を搏ちて得ず。是れ吾が君の恥を揚ぐる者なり。君其れ必ず速やかに之を殺し、遠く聞こえしむること勿かれ」と。君忸怩(じくじ)として、乃ち趣(すみや)かに之を赦す。

現代語訳

平公が鴳(うずらの類の小鳥)を射たが、仕留めきれなかった。そこで小姓の襄に捕まえさせたが、取り逃がしてしまった。平公は怒り、襄を捕らえて殺そうとした。叔向はこれを聞き、夕方に平公のもとへ伺うと、平公はこの件を叔向に告げた。叔向は言った。「君はぜひとも彼を殺すべきです。昔、わが先君唐叔(晋の始祖、周の成王の弟)は徒林で兕(野牛の一種)を射て、一矢で倒し、その皮で大きな鎧を作って、それによって晋に封ぜられました。いま君はわが先君唐叔の後を継ぎながら、小鳥を射て仕留められず、捕まえさせても捕らえられませんでした。これは、わが君の恥を世に言い広める者です。君はどうか速やかに彼を殺して、この話が遠くまで聞こえないようになさいませ。」平公は恥じ入って、急いで襄を赦した。

解説

平公が小鳥を射損じ、捕まえ損ねた小姓の襄を殺そうとしたとき、叔向が逆説の諫めで救った章である。叔向は正面から止めず、ぜひ殺すべきだと言う。始祖の唐叔は野牛を一矢で倒してその皮で鎧を作り、晋に封ぜられた。その子孫が小鳥一羽を仕留められないのだから、それを言いふらす者は殺して口を封じよ、というのである。同調するふりをして、恥は君の射損じにあることを悟らせたのである。平公は忸怩として、急いで襄を赦した。怒っている人に理屈で反対すると、かえって意地を張らせることが多い。叔向は相手の言い分に乗ったまま、その先にある結果を見せることで、平公自身に考えを改めさせた。上司の怒りが立場の弱い部下に向かうとき、どう言えば止められるかを考えさせる、機知に富んだ諫言の見本である。

この章句が説くこと

国語晋語諫言叔向怒り

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