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国語 / 晋語八

魯襄公使叔孫穆子來聘,范宣子問焉,曰:「人有言曰:『死而不朽』,何謂也?」穆子未對。宣子曰:「昔匄之祖,自虞以上為陶唐氏,在夏為御龍氏,在商為豕韋氏,在周為唐、杜氏。周卑,晉繼之,為范氏,其此之謂也?」對曰:「以豹所聞,此之謂世祿,非不朽也。魯先大夫臧文仲,其身歿矣,其言立於後世,此之謂死而不朽。」

新字:魯襄公使叔孫穆子来聘,范宣子問焉,曰:「人有言曰:『死而不朽』,何謂也?」穆子未対。宣子曰:「昔匄之祖,自虞以上為陶唐氏,在夏為御竜氏,在商為豕韋氏,在周為唐、杜氏。周卑,晋継之,為范氏,其此之謂也?」対曰:「以豹所聞,此之謂世禄,非不朽也。魯先大夫臧文仲,其身歿矣,其言立於後世,此之謂死而不朽。」

書き下し

魯の襄公叔孫穆子(しゅくそんぼくし)をして来聘(らいへい)せしむ。范宣子焉(これ)に問いて、曰く、「人言えること有り、曰く、『死して朽ちず』と。何の謂いぞや」と。穆子未だ対えず。宣子曰く、「昔匄(かい)の祖は、虞より以上を陶唐氏(とうとうし)と為し、夏に在りては御龍氏(ぎょりゅうし)と為し、商に在りては豕韋氏(しいし)と為し、周に在りては唐・杜氏と為る。周卑(ひく)くして、晋之を継ぎ、范氏と為る。其れ此の謂いか」と。対えて曰く、「豹(ひょう)の聞く所を以てすれば、此れを之れ世禄と謂う、朽ちざるに非ざるなり。魯の先大夫臧文仲(ぞうぶんちゅう)は、其の身歿(ぼっ)したるも、其の言後世に立つ。此れを之れ死して朽ちずと謂う」と。

現代語訳

魯の襄公は叔孫穆子(叔孫豹、魯の卿)を晋に使者として遣わした。范宣子(士匄、晋の正卿)は穆子に尋ねた。「世に『死んでも朽ちない』という言葉があるが、どういう意味か。」穆子がまだ答えないうちに、宣子は言った。「昔、わたし匄の祖先は、虞(舜)より前は陶唐氏であり、夏の代には御龍氏、殷の代には豕韋氏、周の代には唐氏・杜氏となった。周が衰えると晋がこれを継いで覇者となり、わが家は范氏となった。朽ちないとはこのことを言うのだろうか。」穆子は答えた。「わたし豹の聞くところでは、それは世禄、すなわち代々禄を受け継ぐことであって、朽ちないということではありません。魯の先の大夫臧文仲は、その身は亡くなりましたが、その言葉は後世に立って残っています。これを死んでも朽ちないと言うのです。」

解説

魯の叔孫穆子が晋に使いしたとき、晋の正卿范宣子が「死して朽ちず」の意味を問い、自分の家系を誇ったのに対して、穆子が言葉による不朽を説いた章である。宣子は、わが祖先は堯の陶唐氏から夏・殷・周を通じて続き、今は晋の范氏であると言い、これこそ不朽ではないかと問う。穆子はそれを世禄、つまり家柄と俸禄が続くことにすぎないと退け、魯の臧文仲は身は亡くなっても言葉が後世に立っている、これが不朽だと答えた。『春秋左氏伝』襄公二十四年(前549年)には同じ問答がより詳しく記され、そこで穆子は「太上は徳を立つる有り、其の次は功を立つる有り、其の次は言を立つる有り」と述べ、三不朽として後世に広く引かれた。家や地位が続くことと、その人の残したものが生き続けることは別物である。何を残せば朽ちないのかを問う章である。

この章句が説くこと

国語晋語不朽言葉世禄

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