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国語 / 晋語五

靡笄之役,郤獻子見,公曰:「子之力也夫!」對曰:「克也以君命命三軍之士,三軍之士用命,克也何力之有焉?」范文子見,公曰:「子之力也夫!」對曰:「燮也受命於中軍,以命上軍之士,上軍之士用命,燮也何力之有焉?」欒武子見,公曰:「子之力也夫!」對曰:「書也受命於上軍,以命下軍之士,下軍之士用命,書也何力之有焉?」

新字:靡笄之役,郤献子見,公曰:「子之力也夫!」対曰:「克也以君命命三軍之士,三軍之士用命,克也何力之有焉?」范文子見,公曰:「子之力也夫!」対曰:「燮也受命於中軍,以命上軍之士,上軍之士用命,燮也何力之有焉?」欒武子見,公曰:「子之力也夫!」対曰:「書也受命於上軍,以命下軍之士,下軍之士用命,書也何力之有焉?」

書き下し

靡笄の役、郤献子見(まみ)ゆ。公曰く、「子の力なるかな」と。対えて曰く、「克や君命を以て三軍の士に命じ、三軍の士命を用う、克や何の力か之れ有らん」と。范文子見ゆ。公曰く、「子の力なるかな」と。対えて曰く、「燮や命を中軍に受け、以て上軍の士に命じ、上軍の士命を用う、燮や何の力か之れ有らん」と。欒武子見ゆ。公曰く、「子の力なるかな」と。対えて曰く、「書や命を上軍に受け、以て下軍の士に命じ、下軍の士命を用う、書や何の力か之れ有らん」と。

現代語訳

靡笄の戦いのあと、郤献子が晋の景公に謁見した。公は言った。「そなたの功であるな。」郤献子は答えた。「わたくし克は、君のご命令によって三軍の士に命じたにすぎません。三軍の士がその命に従って働いたのです。克にどんな功がありましょう。」范文子が謁見すると、公は言った。「そなたの功であるな。」文子は答えた。「わたくし燮は中軍から命を受け、それを上軍の士に命じたにすぎません。上軍の士が命に従って働いたのです。燮にどんな功がありましょう。」欒武子(欒書、下軍の将)が謁見すると、公は言った。「そなたの功であるな。」武子は答えた。「わたくし書は上軍から命を受け、それを下軍の士に命じたにすぎません。下軍の士が命に従って働いたのです。書にどんな功がありましょう。」

解説

鞌の戦いの戦勝報告で、晋の景公が三人の将に同じ言葉をかけ、三人が同じ形で功を辞退した場面である。元帥の郤克は、君命を三軍に伝えただけで、働いたのは兵だと言う。上軍の副将范文子は中軍から受けた命を、下軍の将欒書は上軍から受けた命を、それぞれ下に伝えたにすぎないと言う。功を上の命令と下の働きに帰し、自分はその間をつないだだけだとする言い方が、三度そろって繰り返される。『春秋左氏伝』成公二年にも同じ趣旨の問答がある。この時期の晋の将帥たちの間には、功を争わない気風があった。しかしその気風は長くは続かず、十数年後の鄢陵の戦いでは、将の間の功争いが晋を内乱へ導いていく。成果を上の方針と現場の働きに帰せる管理者のもとで、組織は割れずにすむのである。

この章句が説くこと

国語晋語功謙譲指揮

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