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国語 / 晋語五

靡笄之役,郤獻子師勝而返,范文子後入。武子曰:「燮乎,女亦知吾望爾也乎?」對曰:「夫師,郤子之師也,其事臧。若先,則恐國人之屬耳目於我也,故不敢。」武子曰:「吾知免矣。」

新字:靡笄之役,郤献子師勝而返,范文子後入。武子曰:「燮乎,女亦知吾望爾也乎?」対曰:「夫師,郤子之師也,其事臧。若先,則恐国人之属耳目於我也,故不敢。」武子曰:「吾知免矣。」

書き下し

靡笄の役、郤献子の師勝ちて返る。范文子後れて入る。武子曰く、「燮よ、女(なんじ)も亦た吾の爾を望むを知るか」と。対えて曰く、「夫れ師は郤子の師なり、其の事臧(よ)し。若し先んぜば、則ち国人の耳目を我に属(そそ)がんことを恐る、故に敢えてせず」と。武子曰く、「吾免るるを知れり」と。

現代語訳

靡笄の戦いで郤献子の軍が勝って帰国したとき、范文子(士燮、このとき上軍の副将)はわざと遅れて都に入った。父の武子が言った。「燮よ、わたしがお前の帰りを待ちわびていたことが分かっていたか。」文子は答えた。「このたびの軍は郤子(郤克)の軍であり、その戦は立派な功を挙げました。もしわたしが先に入れば、国人の耳目がわたしに集まってしまうのではと恐れました。だからあえて先には入らなかったのです。」武子は言った。「これでわが家は災いを免れると分かった。」

解説

鞌の戦いで晋が斉に大勝して凱旋したとき、上軍の副将であった范文子(士燮)がわざと遅れて都に入った話である。戦は危うい事であるから、父の士会は息子の帰りを案じて待っていた。問われた文子は、この軍は斉の討伐を願い出て元帥を務めた郤克の軍であり、自分が先頭で入れば人々の称賛がこちらに向き、郤克の功を奪ってしまうと答えた。かつて朝廷で謎かけを三つ解いて父に杖で打たれた若者が、ここでは功を譲ることを覚えている。父の「吾免るるを知れり」は、この子なら人の恨みを買わず、わが家は災いを免れるという安堵である。『春秋左氏伝』成公二年にもほぼ同じ問答が見える。成果を挙げたときこそ、その功が誰のものかを考え、目立つ場所を譲る。それが長く組織に身を置く者の身の守り方でもある。

この章句が説くこと

国語晋語謙譲功父子

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