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国語 / 晋語二

宰孔謂其御曰:「晉侯將死矣!景霍以為城,而汾、河、涑、澮以為渠,戎、狄之民實環之。汪是土也,苟違其違,誰能懼之!今晉侯不量齊德之豐否,不度諸侯之勢,釋其閉修,而輕於行道,失其心矣。君子失心,鮮不夭昏。」是歲也,獻公卒。八年,為淮之會。桓公在殯,宋人伐之。

新字:宰孔謂其御曰:「晋侯将死矣!景霍以為城,而汾、河、涑、澮以為渠,戎、狄之民実環之。汪是土也,苟違其違,誰能懼之!今晋侯不量斉徳之豊否,不度諸侯之勢,釈其閉修,而軽於行道,失其心矣。君子失心,鮮不夭昏。」是歳也,献公卒。八年,為淮之会。桓公在殯,宋人伐之。

書き下し

宰孔(さいこう)其の御(ぎょ)に謂いて曰く、「晋侯将に死せんとす。景霍(けいかく)以て城と為し、汾・河・涑(そく)・澮(かい)以て渠(きょ)と為し、戎・狄の民実に之を環(めぐ)る。汪(おう)たる是の土や、苟も其の違(たが)えるを違(さ)らば、誰か能く之を懼れしめん。今晋侯斉の徳の豊否を量らず、諸侯の勢を度(はか)らず、其の閉修(へいしゅう)を釈(す)てて、行道に軽(かろ)んず、其の心を失えり。君子心を失えば、夭昏(ようこん)せざること鮮(すく)なし」と。是の歳や、献公卒す。八年にして、淮(わい)の会を為す。桓公殯(ひん)に在り、宋人之を伐つ。

現代語訳

宰孔(周王の卿士)は自分の車の御者に言った。「晋侯はまもなく死ぬだろう。晋は大いなる霍山を城壁とし、汾水・黄河・涑水・澮水を堀とし、戎や狄の民がぐるりと取り巻いている。これほど広大な国土なのだから、もし道に外れた行いさえ避けていれば、誰がこれを脅かせよう。ところがいま晋侯は、斉の徳が厚いか薄いかを量らず、諸侯の強弱の勢いも測らず、国を守り治めることを捨てて、軽々しく旅に出ている。心の守りを失ったのだ。君子が心の守りを失えば、若死にするか狂乱の病にかからない者はまれだ」。この年、献公は亡くなった。その八年後、斉の桓公は東方の淮で諸侯と会した。やがて桓公が亡くなり、その棺がまだ殯(かりもがり)の間にあるうちに、宋の人々が斉を攻めた。

解説

前の章の続きで、献公を引き返させた宰孔が、自分の御者に晋侯の死を予言する場面である。晋は霍山を城とし、汾水・黄河などを堀とする天然の要害に守られ、道を外れさえしなければ誰にも脅かされない国だった。それなのに献公は、斉の力量も諸侯の形勢も量らず、国を守り治めることを捨てて会盟に駆けつけようとした。宰孔はそれを、心の守りを失ったしるしと見た。予言どおり献公はこの年に亡くなり、晋は後継争いで大きく乱れる。また桓公の会は八年後に東方の淮で開かれ、前の章で宰孔が言った「後の会は東で」も当たった。自分の足もとを固めずに外の舞台へ出たがるとき、人は心の守りを失っているという指摘は、本業をおろそかにして外の付き合いに走る経営者にも当てはまる。

この章句が説くこと

国語晋語予言心献公

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