国語 / 晋語二
獻公問於卜偃,曰:「攻虢何月也?」對曰:「童謠有之,曰:『丙之晨,龍尾伏辰,均服振振,取虢之旂。鶉之賁賁,天策焞焞,火中成軍,虢公其奔!』火中而旦,其九月十月之交乎?」
新字:献公問於卜偃,曰:「攻虢何月也?」対曰:「童謡有之,曰:『丙之晨,竜尾伏辰,均服振振,取虢之旂。鶉之賁賁,天策焞焞,火中成軍,虢公其奔!』火中而旦,其九月十月之交乎?」
書き下し
献公卜偃(ぼくえん)に問いて曰く、「虢を攻むるは何れの月ぞ」と。対えて曰く、「童謡に之有り、曰く、『丙の晨(あした)、龍尾辰(しん)に伏す。均服(きんぷく)振振(しんしん)として、虢の旂(き)を取る。鶉(じゅん)の賁賁(ほんぽん)たる、天策(てんさく)焞焞(とんとん)たり。火中して軍を成し、虢公其れ奔らん』と。火中して旦(あけ)なるは、其れ九月十月の交か」と。
現代語訳
献公は卜偃(晋の占いをつかさどる大夫、郭偃)に尋ねた。「虢を攻めるのは、何月がよいか」。卜偃は答えた。「子どもたちの歌う童謡に、こういうものがあります。『丙子の日の夜明け、龍の尾の星は日月の交わりに隠れて見えない。君臣そろいの軍服は勇ましく、虢の旗を奪い取る。鶉火の星はくっきりと輝き、天策の星は日に近くかすんでいる。鶉火が南中するとき軍は功を成し、虢公は逃げ出すだろう』と。鶉火が南中して夜が明けるのは、九月と十月の変わり目でしょうか」。
解説
晋の献公が虢を攻める時期を卜偃に尋ね、卜偃が童謡に託された星の配置から答えた場面である。韋昭注によれば、「丙の晨」は丙子の日の早朝、「龍尾」は尾宿の星で、太陽が尾宿にあって見えないことを「伏辰」と言う。「鶉」は鶉火の星、「天策」は尾宿の上にある一星で、月がそこにあって日に近いため光がかすむ。鶉火が明け方に南中する時期、すなわち周暦の十二月、夏暦では九月と十月の変わり目の丙子の朝が、虢の滅ぶ時だというのである。『春秋左氏伝』僖公五年にもほぼ同じ問答があり、その年の冬十二月丙子の朔日に晋は虢を滅ぼし、虢公醜は周の都に逃れたと記す。今の感覚では迷信に見えるが、人々の口に上る声に耳を澄ませ、時機を読むという姿勢そのものは、事を起こす者にとって今も変わらない。
この章句が説くこと
国語晋語占い天文時機
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