国語 / 魯語下
公父文伯之母欲室文伯,饗其宗老,而為賦《綠衣》之三章。老請守龜卜室之族。師亥聞之曰:「善哉!男女之饗,不及宗臣;宗室之謀,不過宗人。謀而不犯,微而昭矣。詩所以合意,歌所以詠詩也。今詩以合室,歌以詠之,度於法矣。」
新字:公父文伯之母欲室文伯,饗其宗老,而為賦《緑衣》之三章。老請守亀卜室之族。師亥聞之曰:「善哉!男女之饗,不及宗臣;宗室之謀,不過宗人。謀而不犯,微而昭矣。詩所以合意,歌所以詠詩也。今詩以合室,歌以詠之,度於法矣。」
書き下し
公父文伯の母、文伯に室(つま)せしめんと欲し、其の宗老を饗して、為に『緑衣(りょくい)』の三章を賦す。老、守亀(しゅき)をして室の族を卜せしめんことを請う。師亥(しがい)之を聞きて曰く、「善いかな。男女の饗は宗臣に及ばず、宗室の謀は宗人を過ぎず。謀りて犯さず、微にして昭らかなり。詩は意を合わす所以なり。歌は詩を詠ずる所以なり。今、詩以て室を合わせ、歌以て之を詠ず。法に度(かな)えり」と。
現代語訳
公父文伯の母(敬姜)は息子の文伯に妻を迎えさせようと思い、一族の祭祀を司る家老たちを宴に招いて、彼らのために『詩経』の「緑衣」の第三章を歌った。家老たちはその意を汲み、占いの役人に亀卜で嫁の家柄を占わせたいと願い出た。魯の楽師の亥はこれを聞いて言った。「見事なものだ。男女が同席する宴には宗臣を加えず、一族の家のことを謀るときは同族の宗人の範囲を越えない。相談しても礼を犯さず、言葉には出さずとも意図ははっきり伝わっている。詩は心を通わせるためのもの、歌は詩を詠ずるためのものだ。いま詩によって縁組みを成し、歌によってそれを詠じた。まことに法にかなっている」。
解説
敬姜が息子文伯の縁談を進めるにあたり、一族の祭祀を司る宗老たちを宴に招き、『詩経』邶風の「緑衣」を歌って意を伝えた話である。「緑衣」の第三章には「我古人を思い、訧(とが)無からしむ」の句があり、古人にならって過ちのない家を整えたいという思いを託したと読める。韋昭の注は第三章の句を「我古人を思う、実に我が心を獲たり」とするが、近代の校者はそれを第四章の句だとして正している。宗老たちはその意図を察し、亀卜で相手の家柄を占うことを申し出た。楽師の亥は、縁組みの相談を一族の内にとどめ、直接言葉にせず詩に託して、しかも誤りなく伝わったことを称えた。「謀りて犯さず、微にして昭らかなり」という評が、この章の要である。大事な相談ほど、誰に、どの場で、どういう形で切り出すかがその成否を左右する。
この章句が説くこと
国語魯語詩婚姻礼
関連する章句
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