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国語 / 魯語上

莊公丹桓宮之楹,而刻其桷。匠師慶言於公曰:「臣聞聖王公之先封者,遺後之人法,使無陷於惡。其為後世昭前之令聞也,使長監於世,故能攝固不解以久。今先君儉而君侈,令德替矣。」公曰:「吾屬欲美之。」對曰:「無益於君,而替前之令德,臣故曰庶可已矣。」公弗聽。

新字:荘公丹桓宮之楹,而刻其桷。匠師慶言於公曰:「臣聞聖王公之先封者,遺後之人法,使無陥於悪。其為後世昭前之令聞也,使長監於世,故能摂固不解以久。今先君倹而君侈,令徳替矣。」公曰:「吾属欲美之。」対曰:「無益於君,而替前之令徳,臣故曰庶可已矣。」公弗聴。

書き下し

荘公桓宮(かんきゅう)の楹(はしら)を丹(に)ぬりて、其の桷(たるき)を刻む。匠師慶(しょうしけい)公に言いて曰く、「臣聞く、聖王公の先ず封ぜらるる者は、後の人に法を遺し、悪に陥ること無からしむ。其の後世の為に前の令聞を昭らかにするや、長く世に監(かんが)みしむ。故に能く摂固して解(おこた)らず以て久し。今先君は倹にして君は侈なり、令徳替(すた)れり」と。公曰く、「吾属(まさ)に之を美しくせんと欲す」と。対えて曰く、「君に益無くして、前の令徳を替す。臣故に曰く、庶(こいねが)わくは已むべしと」と。公聴かず。

現代語訳

荘公は桓宮(父の桓公の廟)の柱を朱に塗り、その垂木に彫刻を施した。匠師の慶(工匠をつかさどる大夫)が荘公に言った。「私はこう聞いております。聖王や、公として最初に封ぜられた方々は、後の人に法を遺して、悪に陥ることのないようにされました。後の世のために先人のよい評判を明らかにし、長く世の鑑とさせたのです。だからしっかりと保って怠ることなく、久しく続くことができたのです。いま先君(桓公)は倹約であったのに、あなたはおごっておられます。これでは先君のよき徳がすたれてしまいます。」荘公は言った。「私はただ美しくしたいだけなのだ。」慶は答えた。「あなたの益にはならず、先君のよき徳をすたれさせます。だから私は、どうかおやめくださいと申し上げるのです。」荘公は聞き入れなかった。

解説

魯の荘公が父桓公の廟の柱を朱に塗り、垂木に彫刻を施したとき、匠師の慶が諫めた短い章である。韋昭は、斉から迎える夫人哀姜が廟に参るのに合わせて見栄えを誇ろうとしたのだと注し、匠師慶を掌匠大夫の禦孫の名だとする。『春秋左氏伝』荘公二十三年・二十四年も、桓宮の楹を丹ぬり桷を刻んだことを礼に非ずと記し、御孫が「倹は徳の共なり、侈は悪の大なり」と諫めた言葉を載せる。慶の論理は、先祖が遺した法は後の人を悪から守るためのもので、倹約だった先君の廟を飾り立てれば、その徳そのものを損なうというものである。荘公の「ただ美しくしたいだけだ」という返事に、飾り立てる者の悪びれなさがよく出ている。創業者の質素な精神を受け継ぐ組織で、本社や式典を飾り立てることが、その精神を削っていないか考えたい。

この章句が説くこと

国語魯語倹侈先君

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