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国語 / 周語下

晉孫談之子周適周,事單襄公,立無跛,視無還,聽無聳,言無遠;言敬必及天,言忠必及意,言信必及身,言仁必及人,言義必及利,言智必及事,言勇必及制,言敎必及辯,言孝必及神,言惠必及和,言讓必及敵;晉國有憂未嘗不戚,有慶未嘗不怡。 襄公有疾,召頃公而告之,曰:「必善晉周,將得晉國。其行也文,能文則得天地。天地所胙,小而後國。夫敬,文之恭也;忠,文之實也;信,文之孚也;仁,文之愛也;義,文之制也;智,文之輿也;勇,文之帥也;敎,文之施也;孝,文之本也;惠,文之慈也;讓,文之材也。象天能敬,帥意能忠,思身能信,愛人能仁,利制能義,事建能智,帥義能勇,施辯能敎,昭神能孝,慈和能惠,推敵能讓。此十一者,夫子皆有焉。

新字:晋孫談之子周適周,事単襄公,立無跛,視無還,聴無聳,言無遠;言敬必及天,言忠必及意,言信必及身,言仁必及人,言義必及利,言智必及事,言勇必及制,言教必及弁,言孝必及神,言恵必及和,言譲必及敵;晋国有憂未嘗不戚,有慶未嘗不怡。 襄公有疾,召頃公而告之,曰:「必善晋周,将得晋国。其行也文,能文則得天地。天地所胙,小而後国。夫敬,文之恭也;忠,文之実也;信,文之孚也;仁,文之愛也;義,文之制也;智,文之輿也;勇,文之帥也;教,文之施也;孝,文之本也;恵,文之慈也;譲,文之材也。象天能敬,帥意能忠,思身能信,愛人能仁,利制能義,事建能智,帥義能勇,施弁能教,昭神能孝,慈和能恵,推敵能譲。此十一者,夫子皆有焉。

書き下し

晋の孫談(そんたん)の子周(しゅう)、周に適(ゆ)きて単襄公に事う。立ちて跛(かたよ)ること無く、視て還(めぐ)らすこと無く、聴きて聳(そばだ)つること無く、言いて遠きこと無し。敬を言えば必ず天に及び、忠を言えば必ず意に及び、信を言えば必ず身に及び、仁を言えば必ず人に及び、義を言えば必ず利に及び、智を言えば必ず事に及び、勇を言えば必ず制に及び、教えを言えば必ず弁に及び、孝を言えば必ず神に及び、恵を言えば必ず和に及び、譲を言えば必ず敵に及ぶ。晋国に憂い有れば未だ嘗て戚(うれ)えずんばあらず、慶び有れば未だ嘗て怡(よろこ)ばずんばあらず。 襄公疾有り、頃公(けいこう)を召して之に告げて曰く、「必ず晋周を善くせよ。将に晋国を得んとす。其の行いや文なり。能く文なれば則ち天地を得。天地の胙(さいわい)する所、小にしては而ち後に国あり。夫れ敬は文の恭なり。忠は文の実なり。信は文の孚(まこと)なり。仁は文の愛なり。義は文の制なり。智は文の輿(くるま)なり。勇は文の帥(ひきい)なり。教えは文の施しなり。孝は文の本なり。恵は文の慈なり。譲は文の材なり。天に象(のっと)りて能く敬し、意を帥いて能く忠に、身を思いて能く信に、人を愛して能く仁に、利制して能く義に、事建てて能く智に、義を帥いて能く勇に、弁を施して能く教え、神を昭らかにして能く孝に、和を慈しみて能く恵に、敵を推して能く譲る。此の十一者、夫子皆有り。

現代語訳

晋の孫談(晋の公族)の子の周(のちの晋の悼公)は、周に来て単襄公に仕えていた。彼は立つときに片足に寄りかからず、見るときに目をきょろきょろさせず、聴くときに耳をそばだてず、話すときに身近を離れた遠いことを言わなかった。敬について語れば必ず天に及び、忠について語れば必ず心の真意に及び、信について語れば必ずわが身に及び、仁について語れば必ず人に及び、義について語れば必ず利に及び、智について語れば必ず事の処理に及び、勇について語れば必ず節度に及び、教えについて語れば必ず是非の弁別に及び、孝について語れば必ず神に及び、恵について語れば必ず和に及び、譲について語れば必ず対等の相手に及んだ。晋の国に憂いがあれば必ず心を痛め、慶びがあれば必ず喜んだ。 単襄公は病にかかると、子の頃公を呼んで告げた。「晋周を必ず大切にせよ。あの人はいずれ晋の国を得るだろう。その行いは文(徳の総体)にかなっている。文を備えることができれば天地の助けを得る。天地の福を受ければ、小さくとも国を得るものだ。敬は文の恭しさであり、忠は文の誠実さであり、信は文のまことであり、仁は文の慈しみであり、義は文の断じるところであり、智は文を運ぶ車であり、勇は文を率いるものであり、教えは文を施し広めるものであり、孝は文の根本であり、恵は文の慈しみであり、譲は文の器量である。天にのっとるから敬であり、真心に従うから忠であり、わが身をかえりみるから信であり、人を愛するから仁であり、利を節度で制するから義であり、事を成し遂げるから智であり、義を率いるから勇であり、是非を分けて施すから教えとなり、神を明らかに祀るから孝であり、和を慈しむから恵であり、対等の相手を推し立てるから譲である。この十一の徳を、あの方はすべて備えている。

解説

晋の公子周、のちの悼公が若くして周に身を寄せ、単襄公に仕えていたころの話である。周は晋の襄公の曾孫にあたるが、驪姫の乱ののち晋では公子を国内に置かない慣わしがあった。単襄公は死の床で子の頃公に、晋周を大切にせよ、必ず晋国を得ると遺言した。根拠はまず立ち居振る舞いで、立って偏らず、視て目を転じず、聴いて耳をそばだてず、言って遠いことを言わない。次に言葉で、敬・忠・信・仁・義・智・勇・教・孝・恵・譲の十一徳を語れば、必ず天・意・身・人など、その徳が根ざすところに話が及ぶ。単襄公はこの十一をまとめて「文」と呼び、韋昭は文を「徳の総名」と注する。日々の姿勢と、徳を語るときに話がどこへ行き着くかで人を見抜いたのである。採用や後継者選びで、その人の言葉がどこに根を持っているかを聞き分けたい。

この章句が説くこと

国語周語文徳人物

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