国語 / 周語中
晉侯使隨會聘于周,定王享之餚烝,原公相禮。范子私於原公,曰:「吾聞王室之禮無毀折,今此何禮也?」王見其語,召原公而問之,原公以告。 王召士季,曰:「子弗聞乎?禘郊之事,則有全烝;王公立飫,則有房烝;親戚宴饗,則有餚烝。今女非他也,而叔父使士季實來修舊德,以獎王室。唯是先王之宴禮,欲以貽女。余一人敢設飫禘焉,忠非親禮,而干舊職,以亂前好?且唯戎、狄則有體薦。夫戎、狄,冒沒輕儳,貪而不讓。其血氣不治,若禽獸焉。其適來班貢,不俟馨香嘉味,故坐諸門外,而使舌人體委與之。女今我王室之一二兄弟,以時相見,將和協典禮,以示民訓則,無亦擇其柔嘉,選其馨香,潔其酒醴,品其百籩,修其簠簋,奉其犧象,出其樽彝,陳其鼎俎,淨其巾羃,敬其祓除,體解節折而共飲食之。於是乎有折俎加豆,酬幣宴貨,以示容合好,胡有孑然其效戎、狄也? 「夫王公諸侯之有飫也,將以講事成章,建大德、昭大物也,故立成禮烝而已。飫以顯物,宴以合好,故歲飫不倦,時宴不淫,月會、旬修,日完不忘。服物昭庸,采飾顯明,文章比象,周旋序順,容貌有崇,威儀有則,五味實氣,五色精心,五聲昭德,五義紀宜,飲食可饗,和同可觀,財用可嘉,則順而德建。古之善禮者,將焉用全烝?」 武子遂不敢對而退。歸,乃講聚三代之典禮,於是乎修執秩以為晉法。
新字:晋侯使随会聘于周,定王享之餚烝,原公相礼。范子私於原公,曰:「吾聞王室之礼無毀折,今此何礼也?」王見其語,召原公而問之,原公以告。 王召士季,曰:「子弗聞乎?禘郊之事,則有全烝;王公立飫,則有房烝;親戚宴饗,則有餚烝。今女非他也,而叔父使士季実来修旧徳,以獎王室。唯是先王之宴礼,欲以貽女。余一人敢設飫禘焉,忠非親礼,而干旧職,以乱前好?且唯戎、狄則有体薦。夫戎、狄,冒没軽儳,貪而不譲。其血気不治,若禽獣焉。其適来班貢,不俟馨香嘉味,故坐諸門外,而使舌人体委与之。女今我王室之一二兄弟,以時相見,将和協典礼,以示民訓則,無亦択其柔嘉,選其馨香,潔其酒醴,品其百籩,修其簠簋,奉其犠象,出其樽彝,陳其鼎俎,浄其巾羃,敬其祓除,体解節折而共飲食之。於是乎有折俎加豆,酬幣宴貨,以示容合好,胡有孑然其効戎、狄也? 「夫王公諸侯之有飫也,将以講事成章,建大徳、昭大物也,故立成礼烝而已。飫以顕物,宴以合好,故歳飫不倦,時宴不淫,月会、旬修,日完不忘。服物昭庸,采飾顕明,文章比象,周旋序順,容貌有崇,威儀有則,五味実気,五色精心,五声昭徳,五義紀宜,飲食可饗,和同可観,財用可嘉,則順而徳建。古之善礼者,将焉用全烝?」 武子遂不敢対而退。帰,乃講聚三代之典礼,於是乎修執秩以為晋法。
書き下し
晋侯随会(ずいかい)をして周に聘せしむ。定王之を饗するに肴烝(こうじょう)を以てし、原公礼を相(たす)く。范子(はんし)原公に私して曰く、「吾聞く、王室の礼は毀折(きせつ)無しと。今此れ何の礼ぞや」と。王其の語るを見、原公を召して之に問う。原公以て告ぐ。 王士季(しき)を召して曰く、「子聞かざるか。禘郊(ていこう)の事には、則ち全烝有り。王公の立飫(りつよ)には、則ち房烝有り。親戚の宴饗には、則ち肴烝有り。今女(なんじ)は他に非ざるなり。而して叔父士季をして実に来たりて旧徳を修め、以て王室を奨(たす)けしむ。唯是れ先王の宴礼、以て女に貽(おく)らんと欲す。余一人敢えて飫禘を設けて、忠(あつ)くするも親の礼に非ずして、旧職を干し、以て前好を乱さんや。且つ唯戎・狄には則ち体薦(たいせん)有り。夫れ戎・狄は、冒没(ぼうぼつ)軽儳(けいざん)にして、貪りて譲らず。其の血気治まらず、禽獣の若し。其の適(ゆ)きて来たりて貢を班(し)くや、馨香嘉味を俟たず。故に諸(これ)を門外に坐せしめて、舌人をして体のまま委ねて之に与えしむ。女今我が王室の一二の兄弟、時を以て相見え、将に典礼を和協して、以て民に訓則を示さんとす。亦其の柔嘉を択び、其の馨香を選び、其の酒醴を潔くし、其の百籩(ひゃくへん)を品し、其の簠簋(ほき)を修め、其の犠象(ぎしょう)を奉じ、其の樽彝(そんい)を出だし、其の鼎俎(ていそ)を陳べ、其の巾冪(きんべき)を浄め、其の祓除を敬しみ、体解節折して共に之を飲食すること無からんや。是に於いてか折俎・加豆、酬幣・宴貨有りて、以て容を示し好を合わす。胡ぞ孑然(けつぜん)として其れ戎・狄に效(なら)うこと有らんや。 「夫れ王公諸侯の飫有るや、将に以て事を講じ章を成し、大徳を建て大物を昭らかにせんとするなり。故に立ちて礼を成し烝するのみ。飫は以て物を顕わし、宴は以て好を合わす。故に歳に飫して倦まず、時に宴して淫せず。月に会し、旬に修め、日に完うして忘れず。服物は庸を昭らかにし、采飾は明を顕わし、文章は象に比し、周旋は序順にして、容貌は崇(たか)き有り、威儀は則有り。五味は気を実たし、五色は心を精にし、五声は徳を昭らかにし、五義は宜を紀す。飲食饗く可く、和同観る可く、財用嘉す可くんば、則ち順にして徳建つ。古の善く礼する者、将た焉(いずく)んぞ全烝を用いん」と。 武子遂に敢えて対えずして退く。帰りて、乃ち三代の典礼を講聚し、是に於いてか執秩(しつちつ)を修めて以て晋の法と為す。
現代語訳
晋侯(景公)は随会(晋の正卿、士会、范武子)を周に遣わして聘問させた。定王は饗宴でもてなし、肴烝(牲の体を切り分けて俎に盛った料理)を出し、原公(周の卿士)が礼の進行を助けた。范子(随会)はひそかに原公に言った。「王室の礼では牲の体を切り分けないと聞いていますが、これはどういう礼なのですか」。王はその話している様子を見て、原公を呼んで尋ね、原公はありのままを告げた。 王は士季(随会)を呼んで言った。「あなたは聞いていないのか。禘や郊の大祭では、牲を丸のまま供える全烝がある。天子や諸侯が立ったまま行う飫の礼では、牲を半分に分けて大きな俎に載せる房烝がある。親族との宴には、牲を節ごとに切り分けた肴烝がある。いまあなたは他人ではない。叔父(晋侯)があなたを遣わして、まことに古くからの誼を修め、王室を助けようとしてくれたのだ。だからこそ先王の宴の礼をあなたに贈ろうとしたのである。わたしが飫や禘の礼を設けて、手厚くはあっても親しい者への礼ではない形でもてなし、古くからのしきたりを犯して、先王以来の好誼を乱すことなどできようか。そもそも牲を丸のまま与える体薦は、戎や狄に対してだけ行うものだ。戎や狄は、むやみに押し入って礼の序列を知らず、貪欲で譲ることを知らない。その血気は治まらず、禽獣のようである。彼らが貢ぎ物を納めに来たときには、香りよく味のよい料理を整えるまでもない。だから門の外に座らせて、通訳の官に牲を丸のまま渡させるのである。いまあなたはわが王室の兄弟の一人として、しかるべき時に互いに会い、典礼を和やかに整えて民に教えの手本を示そうとしている。それならば、柔らかく美味なものを選び、香りのよいものを選び、酒と甘酒を清め、多くの籩を品よく並べ、簠や簋の器を整え、犠尊や象尊の酒器を捧げ、樽や彝の酒器を出し、鼎と俎を並べ、覆いの布を清め、身を清める礼をつつしみ、牲の体を解き節ごとに切り分けて、ともに飲み食いするのが当然ではないか。だからこそ切り分けた俎や加えの豆、酬酒の幣や宴の贈り物があって、礼のかたちを示し、好誼を結ぶのだ。どうして牲を丸のままにして、戎や狄と同じ扱いをすることがあろうか。 「そもそも天子や諸侯が飫の礼を行うのは、大事を議して規範を定め、大きな功を立て大きな器物を明らかにするためである。だから立ったまま礼を行い、牲を半ば分けて供えるだけなのだ。飫は器物の備わりを示し、宴は好誼を結ぶ。だから年ごとの飫にも倦むことがなく、季節ごとの宴にも溺れることがない。月ごとに経費を計り、旬ごとに成すべきことを整え、日ごとの務めを全うして忘れない。衣服や器物は功を明らかにし、色や飾りは明らかさを表し、文様は形にかたどり、立ち居振る舞いは順序に従い、容貌には威厳があり、威儀には法則がある。五つの味は気を満たし、五つの色は心を清め、五つの音は徳を明らかにし、五つの義はそれぞれの宜しさを整える。飲食はもてなすにふさわしく、和合は見るに値し、財物はほめるに足る。そうであってこそ順が保たれ、徳が立つのだ。昔の礼をよく心得た者が、どうしてこのような場で全烝を用いようか」。 武子(随会)はそれ以上答えることができず、退いた。晋に帰ると、夏・殷・周三代の典礼を講じて集め、そこで執秩の法を修めて晋の法とした。
解説
この章句が説くこと
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論語・八佾篇子、太廟に入り、事毎に問う。或曰く、『誰か鄒人の子を礼を知ると謂うや、太廟に入りて事毎に問う。』子これを聞きて曰く、『是れ礼なり。』
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論語・八佾篇子曰く、『夏の礼、吾能く之を言う。杞は徵すに足らず。殷の礼、吾能く之を言う。宋は徵すに足らず。文献足らざる故なり。足らば、則ち吾能く之を徵せん。』
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論語・学而篇有子曰く、「礼の用は和を貴しと為す。先王の道も斯を美と為す。小大之に由れども、行われざる所有り。和を知りて和すれども、礼を以て之を節せざれば、亦行う可からざるなり。」
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論語・八佾篇孔子季氏を謂う、「八佾庭に舞わす。是れをも忍ぶ可くんば、孰れをか忍ぶ可からざらん。」
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論語・八佾篇子曰く、君に事えて礼を尽くせば、人以て諂いと為すなり。
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論語・八佾篇林放礼の本を問う。子曰く、「大なるかな問いや。礼は其の奢らんよりは、寧ろ倹せよ。喪は其の易めんよりは、寧ろ戚めよ。」
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