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国語 / 周語上

宣王即位,不籍千畝。虢文公諫曰:「不可。夫民之大事在農,上帝之粢盛於是乎出,民之蕃庶於是乎生,事之供給於是乎在,和協輯睦於是乎興,財用蕃殖於是乎始,敦庬純固於是乎成,是故稷為大官。古者,太史順時覛土,陽癉憤盈,土氣震發,農祥晨正,日月底于天廟,土乃脉發。 「先時九日,太史告稷曰:『自今至于初吉,陽氣俱蒸,土膏其動。弗震弗渝,脉其滿眚,穀乃不殖。』稷以告王曰:『史帥陽官以命我司事曰:「距今九日,土其俱動,王其祗祓,監農不易。」』王乃使司徒咸戒公卿、百吏、庶民,司空除壇于籍,命農大夫咸戒農用。 「先時五日,瞽告有協風至,王即齋宮,百官御事,各即其齋三日。王乃淳濯饗醴,及期,鬱人薦鬯,犧人薦醴,王祼鬯,饗醴乃行,百吏、庶民畢從。及籍,后稷監之,膳夫、農正陳籍禮,太史贊王,王敬從之。王耕一墢,班三之,庶民終于千畝。其后稷省功,太史監之;司徒省民,太師監之;畢,宰夫陳饗,膳宰監之。膳夫贊王,王歆大牢,班嘗之,庶人終食。

新字:宣王即位,不籍千畝。虢文公諫曰:「不可。夫民之大事在農,上帝之粢盛於是乎出,民之蕃庶於是乎生,事之供給於是乎在,和協輯睦於是乎興,財用蕃殖於是乎始,敦庬純固於是乎成,是故稷為大官。古者,太史順時覛土,陽癉憤盈,土気震発,農祥晨正,日月底于天廟,土乃脉発。 「先時九日,太史告稷曰:『自今至于初吉,陽気倶蒸,土膏其動。弗震弗渝,脉其満眚,穀乃不殖。』稷以告王曰:『史帥陽官以命我司事曰:「距今九日,土其倶動,王其祗祓,監農不易。」』王乃使司徒咸戒公卿、百吏、庶民,司空除壇于籍,命農大夫咸戒農用。 「先時五日,瞽告有協風至,王即斎宮,百官御事,各即其斎三日。王乃淳濯饗醴,及期,鬱人薦鬯,犠人薦醴,王祼鬯,饗醴乃行,百吏、庶民畢従。及籍,后稷監之,膳夫、農正陳籍礼,太史賛王,王敬従之。王耕一墢,班三之,庶民終于千畝。其后稷省功,太史監之;司徒省民,太師監之;畢,宰夫陳饗,膳宰監之。膳夫賛王,王歆大牢,班嘗之,庶人終食。

書き下し

宣王即位して、千畝(せんぽ)に籍(せき)せず。虢文公(かくぶんこう)諫めて曰く、「不可なり。夫れ民の大事は農に在り。上帝の粢盛(しせい)是に於いてか出で、民の蕃庶(はんしょ)是に於いてか生じ、事の供給是に於いてか在り、和協輯睦(わきょうしゅうぼく)是に於いてか興り、財用蕃殖是に於いてか始まり、敦厖純固(とんぼうじゅんこ)是に於いてか成る。是の故に稷(しょく)を大官と為す。古は、太史時に順いて土を覛(み)る。陽癉(あつ)く憤盈(ふんえい)し、土気震発し、農祥晨に正しく、日月天廟に底(いた)れば、土乃ち脈発す。 「時に先だつこと九日、太史稷に告げて曰く、『今より初吉に至るまで、陽気俱に蒸(のぼ)り、土膏(どこう)其れ動かん。震わず渝(か)えずんば、脈其れ満ちて眚(わざわい)し、穀乃ち殖えず』と。稷以て王に告げて曰く、『史陽官を帥いて以て我が司事に命じて曰く、「今を距(さ)ること九日、土其れ俱に動かん。王其れ祗(つつし)み祓(はら)いて、農を監して易えざれ」と』と。王乃ち司徒をして咸(みな)公卿・百吏・庶民を戒めしめ、司空は壇を籍に除し、農大夫に命じて咸農用を戒めしむ。 「時に先だつこと五日、瞽(こ)協風の至る有るを告ぐ。王斎宮に即き、百官御事、各其の斎に即くこと三日。王乃ち淳濯(じゅんたく)して醴(れい)を饗(う)く。期に及び、鬱人(うつじん)鬯(ちょう)を薦め、犧人(ぎじん)醴を薦む。王鬯を祼(かん)し、醴を饗けて乃ち行く。百吏・庶民畢(ことごと)く従う。籍に及び、后稷之を監し、膳夫・農正籍の礼を陳べ、太史王を賛(みちび)き、王敬しんで之に従う。王耕すこと一墢(いちばつ)、班(つい)でて之を三にし、庶民千畝を終う。其の后稷は功を省(かえり)み、太史之を監す。司徒は民を省み、太師之を監す。畢(お)われば、宰夫饗を陳べ、膳宰之を監す。膳夫王を賛け、王大牢(たいろう)を歆(う)け、班でて之を嘗め、庶人食を終う。

現代語訳

宣王が即位したが、千畝の籍田(天子が民の力を借りて耕す儀礼の田)で耕す礼を行わなかった。虢文公(王の卿士、西虢の君)が諫めて言った。「なりません。そもそも民にとって最も大事なのは農業です。天帝に供える穀物はここから生まれ、民が増え栄えるのもここから、国の諸事に必要な物資もここにあり、人々の和合親睦もここから起こり、財貨が増え殖えるのもここに始まり、厚く純朴で堅固な気風もここで形づくられます。だからこそ農事をつかさどる稷を大官としたのです。昔は、太史(暦をつかさどる官)が時節に従って土の様子を観察しました。陽気が厚く積もって満ち、土の気が震え起こり、農祥(農事の目印となる房星)が夜明けに真南に来て、日と月が天廟(営室の星宿)に至ると、土の筋目がほぐれて動き出すのです。 「立春に先立つ九日前、太史は稷に告げます。『今から初吉(二月の朔日)までの間に、陽気がそろって立ちのぼり、土の潤いが動き出します。このとき土を掘り起こして変えてやらなければ、土の筋目に気がこもって害をなし、穀物は育ちません』と。稷はそれを王に告げます。『太史が陽官(暦と天文の官)を率いて、わたしども係の者に命じました。「今から九日後、土がいっせいに動き出す。王はつつしんで斎戒し、身を清めて、農事を見守り、時を違えてはならない」と』。そこで王は司徒(民をつかさどる官)に命じて公卿・百官・庶民にあまねく戒めさせ、司空(土地をつかさどる官)は籍田に祭壇を整え、農大夫(田の役人)に命じて農具の準備をあまねく戒めさせました。 「立春の五日前になると、瞽(盲目の楽官)が和やかな春風の到来を告げます。王は斎宮に入り、百官も職務に応じてそれぞれ三日間の斎戒に入ります。王はそこで沐浴して身を清め、甘酒を飲みます。当日になると、鬱人(香酒の係)が香草で香りをつけた鬯酒を差し出し、犧人(酒器の係)が甘酒を差し出します。王は鬯酒を地に注いで神を降ろし、甘酒を飲んでから出かけ、百官と庶民がみなこれに従います。籍田に着くと、后稷(農官の長)がこれを監督し、膳夫と農正(田の大夫)が籍田の礼式を並べ整え、太史が王を先導し、王はつつしんでそれに従います。王が鋤で一すき耕すと、公・卿・大夫が順に三倍ずつ耕し、最後は庶民が千畝を耕し終えます。后稷が仕事の出来を点検し、太史がそれを監督します。司徒が民の働きを点検し、太師がそれを監督します。終わると宰夫(饗宴の係)が饗宴の支度を並べ、膳宰がそれを監督します。膳夫が王を助け、王は牛・羊・豕をそろえた大牢の供物を味わい、公・卿・大夫が順にこれを味わい、最後に庶民が食べ尽くすのです。

解説

周の宣王が即位して籍田の礼を行わなかったとき、卿士の虢文公が諫めた長い言葉の前半である。籍田とは、天子が民の力を借りて耕す千畝の田で、韋昭注によれば厲王の追放以来この礼が廃れ、宣王も古に従わなかった。虢文公はまず、祭りの穀物も民の繁栄も財も和睦も、すべて農から生まれると説き、だから稷を大官とするのだと述べる。続いて立春に向けての段取りを細かに語る。太史が天象と土の気を見て九日前に告げ、五日前には楽官が春風の到来を告げ、王と百官が斎戒し、当日は香酒で神を降ろしてから田に出る。王が一すき耕し、公・卿・大夫が三倍ずつ次第に耕し、庶民が千畝を耕し終える。韋昭注は、王一墢・公三・卿九・大夫二十七と数える。この細密さそのものが、王が農を天下第一の大事として身をもって示す仕組みだったことを物語る。形式に見える儀礼が、実は組織全体の優先順位を伝える言葉であったことは、今の組織にも通じる。

この章句が説くこと

国語周語籍田農礼

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